ICC(国際刑事裁判所;International Criminal Court)は7月14日に、スーダン大統領のバシールを訴追した。ICCは、人道的な観点からバシールの行っている大量虐殺に対して、「ダルフールにおける恐るべき犯罪は、国家元首であっても法の下にあること」を示した。
これは画期的なことである。ICCはなじみの薄い組織ではあるが、2002年にハーグに設置された。署名国は139カ国、締約国は107カ国となっている。例によって、アメリカは参加していない。
クリントン時代には積極的に、前段のローマ規定には参加していたものの、ICCが設置される 直前にブッシュはこれを蹴とばした。なるほど。京都議定書とほとんど同じ流れである。
世はまさにグローバル化の時代である。このグローバル化は、小泉・竹中新自由主義路線では、経済におけるグローバル化ばかりが論じられてきた。強者が弱国を凌駕してもよいとする思想である。市場経済は、世界の流れであり政権は小さくなって、市場にすべてを委ねればよいと言ってきた。
しかし、環境問題に見るように、すでに経済大国だけでは世界を論ずることができなくなってきている。これこそグローバル化の中で論じなければならない。
さらに、法秩序、あるいは人道的な観点からもグローバル化が論じられなければならなくなっている。今回の、ICCのバシールの訴追はそのいい例である。
ICCに参加していないのは、中国やロシアも同じである。日本はアメリカの顔色を窺いながら、署名国とはなっていない。どこかで見た構図である。
今こそ非経済原則に基づく、グローバル化が求められる時代となったことを認識するべきである。
ところで、ICCはブッシュを訴追しないのだろうか。この国家元首の犯した罪はバジールを超えるものがあると思うのだが・・・