北海道の安平町のゴルフ場で、突如として大きな穴があきプレー中の主婦が転落死亡した。穴の底には水があり子供の目の前で穴に落ちた主婦の死因は、水死だった。穴の大きさは、深さが4~5メートルもあるものだった。
地質の専門家が調査中のことであるが、もろい地質と地下水がシバレが溶けて流れ出し、崩壊したようである。ゴルフ場を自然環境に近いものだと思っている人が多いのも、困ったものである。ゴルフ場ほど、日本の自然環境にそぐわないものはない。
ゴルフの発祥地、イギリスは緯度も高く冷涼な地域である。木の発育も悪く、日本に比べて樹種も100分の1程度である。古い地質のために、平坦で高低差が無く土壌栄養も少ない。要するに、イギリスの自然景観が私たちが、見慣れているゴルフ場そのものである。
水量が豊富で高低差があって、樹種も豊富で草花も豊かな日本で、ゴルフ場を作るためには強引に木々を伐採しなければならない。更には、土地を削って平坦にする必要がある。草を植えただけのゴルフ場を保全するためには、硬化剤(糊のようなもの)で固めなければならない。草だけが生えるように、農薬も散布しなければならない。
バブル時期に、釧路川流域にゴルフ場の建設計画が30ほどあった。ゴルフ会員権を担保に計画をぶちあげる、バブルそのものの計画の多くはとん挫してしまった。当時の湾岸戦争のGulfwarをもじって、Golfwarと言って、反対運動をしたものである。
飛行機で北海道から首都圏にはいると、涙の出そうないくつもの光景を見ることがある。郊外の里山の多くが無惨に剥ぎ取られ、ゴルフ場になっているのである。
アルペンスキーは、アルプスの氷河を滑るのが元の形である。ノルディックスキーは北欧の森の中を走り抜ける競技である。スキーもゴルフも発祥の地の気候風土が、育んだスポーツなのである。
国土計画が、リゾート法を武器に、地方に無数のホテル建設をもくろんだ。其処には、必ず環境破壊するスキー場とゴルフ場を付る開発であった。これこそ、疲弊する地方を札びらで叩くような開発であった。それは、同時に異常な環境破壊でもあったのである。
今回の事故は、悲しむべきことではあるが、いずれは起きるであろう地形や環境を考慮しない、ゴルフ場開発がもたらした悲劇なのである。ゴルフ場には、環境保全に必要なだけの、応分の課税をするべきである。