イギリスで、独立調査委員会の「イラク戦争検証委員会」が開かれている。29日には、当時の ブレア首相が証人として喚問された。英国人ならずとも、あの戦争がなぜ起きたのか、正当性があったのか問いたいところである。
ブレアは「責任は感じてはいるが、フセイン大統領を排除したことは後悔していない。イギリスはより安全になった」と証言し、自らの判断の正当性を主張した。ブレアは、開戦に先立ち国民に向けて、そんなことは一言も言わなかった。ブレアがブッシュとともに上げた戦争の理由は、イラクの大量破壊兵器の存在である。
大量破壊兵器の存在については「完全に信じていた。存在を裏付ける文書は存在しなかった」とも述べ、報告文書の脚色には関与していないと証言した。国連決議を無視し開戦に踏み切ったことも、何ら問題がないと発言している。
イラク侵攻は、ブッシュの戦争であるが、同時にブレアの戦争でもあった。大量破壊兵器の脅威の対象にアメリカはならないが、距離的にイギリスは射程圏にあるとされたからである。ブレアの協力はブッシュにか欠かせなかったのである。
オランダでも同様の委員会が開かれ、「国際法違反」であり「政府の戦争支援は誤りであった」と結論付けている。
日本もこの戦争に加担している。自衛隊を戦闘地に派遣させ、給油活動でアメリカ軍を支援している。ブッシュの「テロの側につくか否かである」との恫喝を、ブレアの次に受けて戦争に加担したのは、小泉純一郎の判断である。
平和憲法をもち、自衛のための兵力しか持てない日本が、虚偽の事実を積み上げられたことを理由に、戦地に派兵してまで戦争に加担したのである。より世界は安全になると、”テロとの戦い”は行われたが、より一層危険な世界を産みだしたことは、今では誰もが知る事実である。
日本でも、「イラク戦争検証委員会」を立ち上げて、小泉純一郎に証言をさせるべきである。せっかく政権交代した今こそできる。日本がブッシュの戦争を支持した理由と、その結果世界は安全になったのか、テロはなくなったのか、小泉に問いたいものである。
でなければ、この戦争で死亡したといわれる推定20万人のイラク人の魂に報いることはできないし、国外逃亡を余儀なくされた200万人以上の人たちの悲劇の責任を曖昧にさせたままになり、いまだにテロに明け暮れる彼らを理解できないままになってしまう。