トヨタがプリウスのリコールに踏み切った。直前には、機能的な不備ではなくユーザーの感覚的なものであると、強気の発言をしていた。昨年来のアメリカのトヨタ車のリ コールに頭を抱えていた、世界のトヨタの沽券にかかわることである。
アメリカのトヨタ車のリコールの原因は、はっきりしている。現地生産を政治的な計らいでやったために、アメリカの不良品を部品に使って起きたことである。しかも、マットがずれてペダルが利かなくなるというような、ある意味運転者の問題とも言えなくもない、瑣末な問題である。
政治的に矢面に立たされる立場にある、世界のトヨタである。アメリカではトヨタ車から自社の車に乗り換えると、奨励金を出すところが出てきている。色々な難局に直面しているオバマは、この問題を風向きを変える格好の材料にしている。
企業責任が問われた場合の、優等生の対応とされている例が日本に2例ある。一つは石原プロが撮影中に見物する群衆に、車が突っ込んで人身事故を起こした例である。渡哲也社長は、被害者に陳謝しこのシリーズをスッパリ打ち切り、1年ほど自粛した。
もう一つが、ナショナル(現パナソニック)のストーブの例である。1年間あらゆる器具のCMを打ち切って、ストーブの回収にそれを費やした。更にダイレクトメールをほとんどの家庭に向けて出し、今でも間断なく捜査のCMを流している。職員に地域の貼り付けをやって、今でも不良製品回収の姿勢を崩していない。
この2社の例は極端に思える気もするが、いずれもその後の信頼回を比較的早期に成し遂げている。
トヨタの言い分は理解できるし、不具合も大した問題とは思えない。企業のコンプライアンスは、自らの言い分だけでは通らない。農業にとって、日本の自動車産業は天敵である。この程度のお仕置きは受けても良いのではないかとも思える。それにしても、少し出遅れた感は否めない。