日本の本当のフォークシンガー、あるいはフォークシンガーを1人だけ上げろ言われたら、多くの人が高田渡を上げるであろう。高田渡が、道東の小さな町で亡くなって、早いもので5年が経つ。ステージで寝て しまったとか、貧乏で電気を止められたとか、風呂に行くと言って3年ほど帰ってこなかったとか、とにかく逸話の多い人物である。
先週から、NHK教育テレビの水曜日夜10時30分から、何とこだわり人物伝、「孤高のフォークシンガー・高田渡」として4週ほど放送される。マスコミなどは彼をゴミのように扱った時代もあったが、時代も変わったものである。このシリーズは時折面白いものをやってくれる。
高田渡の歌は、詩によって支えられている。彼の父親は詩人であり、幼いころよりかなり言葉を選んで、詩を書いていたようである。虚飾を捨てて中身しかない、身の丈を超えることのないフ ォークシンガーである。
もう一人フォークシンガーとして特筆したいのが、井上陽水である。今日(11日)は忌まわしい「紀元節」の日で、世間は休日だそうである。休日なので、NHKで5時間の特番を組んでいる。彼らがテレビに出ること自体、時代の流れを感じている。
陽水の歌は彼の声と曲と詩によって、見事に出来上がっている。特に、陽水の一見無関係に並べられた言葉の醸し出す世界は絶妙である。陽水独特の世界は人を引き寄せるて離さない。デビューして40年が過ぎた。40年以上も楽曲を創作している音楽家は、日本では希とのことである。
幼いころ、バッハやベートーベンの肖像が並べれらた、音楽室で教え込まれた音楽の原理では、彼らの音楽を理解できない。忠実に学校教育で音楽を学んだ我々は、ビートルズの登場にに驚き、陽水に感動し、高田渡の日常の虚無感を受け入れたのである。それにしても、日本から本音を語るフォークが消えてしまった感がある。