そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

自民党王国の築いた畜産地域の出来事

2010-05-26 | 獣医師

鹿児島県と宮崎県は畜産王国である。肉牛と肉豚の生産基地である。鹿児島には山中貞則、宮崎には江藤隆美という、まさに自民党の大物が辣腕をふるった地域である。二人とも畜産のプロである。特に山中貞則は家畜商としての誇りが高く、国会議員になっても家畜市場に出掛けて値踏みまでやっていた。

彼らが築いた畜産王国は、当然のように手厚い国からの対策が数多くなされてい001 る。牛肉価格が暴落した時などに、様々な補助金が出ていたが、その多くはこの二人がねん出したものが多い。

現在北海道の畜産農家が購入する配合飼料(輸入穀物を主体に配合したものである)は、概ねキロ当たり40~55円程度であるが、30年前から南九州では30円台の値段で買い付けている。穀物メジャーの基地を誘致したり、流通を簡素にすることで、一大畜産基地を築き上げたのである。

鹿児島、宮崎の畜産は自民党王国の象徴的存在でもある。今回の口蹄疫発生についても、いち早く情報を入手する立場いににある自民党が、民主党の無策を非難している。初期対応の鈍さは、基盤を持たない民主党には非難されても仕方ない面が少なからずある。

しかし、中山たちの築いた畜産王国は、輸入穀物に大きく依存する飼養形態である。餌の購入ではいかに安価なアメリカ穀物を輸入するかに腐心し、販売では政治力に任せてブランド化を目指し高価で販売したのである。結果的には土地を持たない、畜産”農家”が牛豚を飼う飼養形態となったのである。

今回被害が大きくなった背景には、牛の1000倍以上排菌する豚の処理が滞っていることにあると、山田副大臣も認めている。口蹄疫陽性と診断されても、殺処分して埋める土地がないのである。

209戸となった25日の時点で、発生戸数と頭数は、牛農家144戸で約2万頭に対して、豚農家は65戸で約12万8千頭である。いかに豚の飼養頭数が多いかが解る。25日時点で、13日から放置されている豚群は、28戸で処分予定の頭数が5万頭である。実に陽性豚群の40%が、いまだ豚舎ででウイルスを撒き散らし続けているのである。(上記のデーターは、農水省のサイトから算出した)

頭数の多い養豚農家は埋却する土地もなく、殺処分を待つ数千頭の豚を飼い続けているのである。もちろん大量のウイルスを撒き散らしながらである。ワクチンでどれほど抑えられるかが未知数である。自民党が築いた畜産王国のスタイルが感染を広げているといえる。

コメント (14)
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