福島原発事故と同じレベル7のチェルノブイリは、現在どうなっているだろう。そして福島はどうなるのだろう。
後10日で、チェルノブイリの原発事故から、25年になる。四半世紀が過ぎた現在でも、立入り禁止区域の30キロ圏外の、農産物から基準値を上回る放射性物質が検出されている。先だってグリーンピースの発表によると、牛乳、キイチゴ、根菜などからウクライナの基準値を 超える放射能が確認された。
環境からは、いまだにいセシュウム137は増加しつつある。
周辺では子どもの甲状腺がんが多発し、背柱側わん症の子どもたちや、様々な奇形の子や白血病の発生が、圧倒的に多いのである。 25年経た現在でも見られるこれらの事実は、放射能が次世代まで、遺伝的破壊を及ぼし影響を続けていることが解る。
事故直後に早々と、と言っても6カ月かかって建設された石棺で覆われた4号機ではあるが、高放射能下で急遽建設され老朽化が激しい。当時のソビエトとしては、最大の対策であったと思われる石棺化であるが、いまだに福島はそれにも踏み切れないでいる。ようやく、4基の廃棄を渋々認めたに過ぎない。
会長は廃炉にすると明言したわけではなく、「廃棄せざるを得ない」と言ったに過ぎない。廃炉にする無念さが言葉のはしはし感じられる。こうした東電の無念さが、事故内容を小さく発表したり、今直ぐには問題が起きないとかいう発言をさせたりしたのである。
何よりも、復旧対策として取り組んだ、初期対策から脱していないのである。
チェルノブイリ原発は、石棺すら覆い尽くすドーム状のシェルターの建設にかかっている。建設費用の半額の、約700億円をEUにおねだりしている。
チェルノブイリは30キロ範囲を立入り禁止にしたが、僅か30万人であった。福島はどれほどの範囲を廃墟にするかは解らないが、その10倍にはなるであろう。
それにしても、日本各地で1万人規模の反原発デモが起きているが、マスコミはこれらを報道すらしない。原発事故を懸命に隠すマスコミは、矢張り原子力行政に取り込まれていると見るしかないのであろうが、それにしても情けない。それは、原発でたんまりお金を落としてもらっている、当該自治体にも言えることである。