日本と同じようなコメ政策で、タイは財政難に陥っている。若く家柄も良く美貌のインラク首相は、対国民の65%を占める農民票のために、コメ作りへバラマキ政策を掲げ見事当選した。
コメを一定の価格で政府が購入するというものであるが、市場価格を上回る価格で購入するために、2年目でインラク政権は急激な赤字を招く結果になっている。
市場価格がトン当たり1万5千~8千バーツの所を、2万バーツで購入するのである。農家経済はこの2年で大いに潤った。とりわけこれまで買いたたかれていた、小規模農民は大変な恩恵にあずかっている。農村は好景気はかってないものになっている。
ところが、市場価格を無視した政策は市場価格を無意味に吊り上げる結果になり、
輸出競争力も失ってしまった。世界一の輸出量であったが、現在はインドとベトナムに追い越されて、3位になってしまった。他にも要因があるが、タイの国内価格を、インラク政策が釣り上げた結果であることには間違いない。
このインラクのコメ政策は、日本の減反政策と同じである。農業支援と農家支援を取り違えているのである。農産物や食糧のことを考えての政策ではない。農家にご機嫌をとる政策であって、安定した食糧生産や質の確保のための政策ではないのである。
インラクはこうして農村部の人気が更に高くなったが、8000億円もの損失を国に与えてしまった。更に、主要輸出品の減退で景気が一気に悪化してしまっているのである。そして、タイの国債の利息が上がり評価が下がっている。
インラクは自らの育ちの良さと、農村の大きな支持で当分政権を維持することになるだろう。しかし、農業国タイの未来はなくなってしまう。日本も大いに教訓とするべきである。