JR北海道の事故が止まらない。函館線の脱線事故では、十勝などの秋の収穫農産物が首都圏に送れなくなった。私の定期購読の雑誌も、2日も遅れた。極めて大きな経済的損失もあるだろう。
旧国鉄の中でも、北海道のJRは極めて特殊である。競争相手がいない。北海道では私鉄がなく電車もない。すべてがジーゼル車である。ジーゼル車両はそれぞれの車両が燃料タンクを積載している。地域が広いために路線の保守点検が容易でないうえ、人口が少ないので経済的に大きな負担になる。
国鉄の解体の矛盾を人的に大きく受けていたのも、北海道である。国労の主要部隊に大ナタを振るったために、40代から50代前半の人材が極端に少なくなっているのである。技術の継承ができないという、人事の問題はかなり大きい。
さらに、民営化時は1万4千人の従業員が、7100人と半減した。その一方で、特急列車の本数が倍増している。
しかしこうした条件を考慮したとしても、組織的問題が最も起きいと考える。次の二つから、JR北海道が深刻な組織的問題を抱えていると思われる。
一つは石勝線のトンネル内で火災が起きてほとんどの車両が、燃えてしまった事故である。知人も乗っていたのであるが、車掌が燃え盛る車両から逃げようとする乗客を静止していたのであるが、これを的確に誘導したのは、車内販売の人たちだということである。
職員は自己責任を優先させ、事故を小さく見せようとばかり小細工をしていたのである。
もう一つは、今回の函館線の貨物の脱線に関して、線路の点検ミスが数か所とか報告していたが、97か所もあったと言い替えたのである。しかもそのほとんどを点検していないと、平然と言ってのけたのである。今日もまた2件の事故が起きている。それぞれが異なる事故であるために、車両や技術的な問題でないことが判る。
この2点を見るだけで、いかの責任逃れしか考えていない組織であるかがわかる。