日本の刑務所には、6万人もの入所者がいる。毎年2万8千人が出所している。一度(あるいはそれ以上)犯罪を犯し出所した人たちの再犯率が、43.8%にもなるそうである。
同じ人物の複数回にわたる犯罪もあるために、再犯者率はこれより30%ほど低くなるそうである。しかし、これは余りのも高い数字と言わざるを得ない。
私は獣医師であり法律や社会学の門外漢であるが、これでは犯罪者を罰することと、更生させることの意味がまったくなく、法律上も服役の在り方も機能していないことを意味する。単に犯罪者は”悪い奴”とレッテルを貼り、再犯者にはムショ帰りとみて「やっぱり」と思わせているに過ぎない。
日本の刑罰は報復の意味あいが強く、罰として肉体的にあるいは精神的に追い詰めることを強制しているからである。中世の拷問こそなくなっているかもしれないが、現行の刑罰は意味合いとしては同質のものである。
更には、同じ犯罪を重ねる場合を”累犯”というそうであるが、再犯者の7割を占めているようである。こうなると、服役自体が無意味になっていると言わざるを得ない。
日本の制度でもっとおかしなことは、満期で出所した場合全くに自由な身分になってしまうことである。満期出所者は、仮出所もできなかった問題のある人物が多い。
問題の少ない受刑者が対象になる仮出所者が、保護観察を出所後受けることになっているのに比べ、満期出所者は大手を振って娑婆に出るのである。更生保護施設のお世話になるものも少ない。
仇討という文化がこの国にはあり、忠臣蔵などは”忠義”を重んじ、報復殺人行為を美化するのである。こうした文化を背景に犯罪者に死刑を求める、犯罪被害者家族の報復の心情にも重なる。量刑が報復的意味合いが強いのはこの国歴史の中にある。
今のままでは、刑務所は犯罪者と再犯者を一時隔離する、犯罪予備者の収容施設に他ならない。個人的に自由に帰宅できたり、資格取得をできるノールウエイなど刑務所の在り方を検討するべきであろう。
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