そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

トランプの今後を期待と不安で注視してゆきたい

2016-11-09 | アフリカ
あらゆるメディアを敵に回し、全く有力新聞紙から支持を得られなかった、粗野で暴力的発言を繰り返すトランプがアメリカ大統領選挙を制した。行政経験も政治経験も軍隊経験も何もない人物である。多くの人たちは、どう転んでもヒラリーが勝つと思ったであろう。アメリカではなにが起きているのか。
今回の選挙はこれまでの民主党と共和党の戦いではない。共和党の有力者は全て、トランプに苦言を呈していた。共和党の伝統の政策もトランプは関係なく暴力的発言を繰り返した。保護主義を唱えるトランプは、当初は単なる泡まつ候補で、予備選の早い段階で消えると思われていた。トランプが次第に支持層を広くしていったことは、現在アメリカが抱える苦悩や問題点を明らかにしてきたといえる。
メキシコとの国境に壁を作り、その費用をメキシコに持たせるなどとは、移民問題に悩む国民から大きな支持を得たのである。実現などできるはずがない。トランプはかつてアメリカを支えた農業や工業、それを支えてきた人たちの”郷愁”を勝ち取ったのである。対するクリントンを支える現アメリカ経済の主流は、IT産業と金融である。トランプが汚くののしるのは、「政治的正当性」として触れてこなかった、誰もが平等であるとかいうリベラル思想を真っ向から否定することでもあった。その結果の一つが、国境に壁を作ることである。トランプを支持したのは古いアメリカの経済を支えた、白人層である。50年前には20%であった白人はあと数年で、50%を切る。
クリントンを支えたヒスパニック層などの非白人層は、2070年で80%になると言われている。白人の大統領は、後2、3期で消滅する可能性すらある。トランプの当選はそうした最後のあだ花のようなものである。この結果は、民主党でもなければ共和党の主張でもない。時の流れといえる。

トランプの政策はどのようにやられるかは、今後大きな課題に直面しながらも、今回の選挙に象徴されるように、自説を通すことになるだろう。トランプは自説を曲げないであろう。外交ではTPPは離脱することになる。たとえオバマが任期中の批准しても、個別問題では日本とアメリカが合意しなければ80%を超えることがないから、TPPは事実上とん挫する。安倍は言葉とは裏腹に忸怩たる思いであろう。
移民問題では、フランスの極右政党のルペンが大歓迎していることでも判る様に、かなり排他的になる。中東政策はロシアとの関係を重視するようになろうから、どう動くかわからないが、大きな転機にはなる。
日本や韓国の核武装しろ、アメリカ駐留軍への負担をしろというのは、現状を知らない発言である。日本の憲法も知らなければ、日本や韓国の実質的な負担を知らないのである。アメリカ軍は日本や韓国に駐留するだけで甘い汁を吸い続けている。
いずれにしても、不遜の輩ではあるがアメリカは大きく変わるのではないかと思われる。個別政策は期待と不安を抱えながら、今後を待つことにしたい。
コメント (4)
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