そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

国家は均等に発展しない、国家優先の思想をなくするべき時である

2018-01-02 | 格差社会
国家は均等に発展しない。風土や民族性や宗教や歴史的背景は、それぞれの国や地域が固有のものであり特異性がある。そもそも国家という概念、あるいはもう少し踏み込んで、国家という定義も多様である。民族や宗教が作り上げた一体感のある領域が国家形勢へと繋がってゆくほぼ共通の動きはあるものの、世界中で同時に進行して国家が形成されたわけではない。
近代になって、国家とは粗税の徴収や法支配や地域を特定し政治支配する共同体、などと定義してもそれは先進国、早々と国家を打ち立てた側の言い分に過ぎない。経済力や軍事力の差は欲望のための侵略をすることになる。
南アメリカに、アフリカにオーストラリアへと軍事力にも経済力にも勝る国家は兵を進め、19世紀には東南アジアへと帝国主義国家として、散々収奪と搾取更には非人道的行為を繰り返した。
先に近代化に成功した日本もこれに倣い、琉球王国を処分し韓国を併合し満州を属国化し中国をも侵略した。他国の統治権を先に近代化した国家は認めなかったのである。第二次世界大戦後にはあからさまな国家侵略は亡くなったかのように見えるが、相も変わらず大国は隙あらば弱小国家を見下し、自衛の理由をこじ付けて同様の侵略行為を繰り返す。
巨大な国家は軍事力や経済力で、貧国を圧倒する。自国の人間と貧国の国民を同等に見ることができない。無人偵察機の銃口にはヒューマニズムに欠片もない。

民族や国家の意識には根強いものがある。カタロニアの独立活動が、国家を考える上でのいい例といえる。独立運動に国家観などなく、経済的展望も軍事体制の背景もないまま、民族意識の高揚だけで国家を形成しようとする。
独立を求める地域には、国際社会は一定の条件を付して積極的に独立を認めてゆくべきである。ISは国家としての宗教と軍事力だけに特化した疑似国家といえる。しかし、紛争の種になることが多く、ISの戦闘員には、ロシアのチェチェンなど世界の独立運動で追われたものが少なくはない。
国家の壁も国境の障害も、人類の将来という長期的な視点から見れば失くしてゆくべきものである。EUがその試行錯誤の途に就いたばかりである。通貨の統合先ずは行っては見たが、イギリスの脱落など前途は多難である。EUの通貨統合に問題が多いのは、国家ごと財政が独立していることが大きい。通貨のユーロの評価が安定しない。国家の発展、国力に格差があるからである。
日本の国会議員の先生たちは与野党共関係なくどなたも、日本の「国益」を高く掲げる。国益という狭量な考え方が、国家間の紛争の要因の大きな一つになっていることを考えるなら、国益という言葉は排除されるべきである。
そろそろ、国家間の紛争を国家の視点から判断することを止めるべきである。新たな紛争や怨念を残すだけとなるからである。
幼いころ21世紀は平和の世紀になるという概念をおぼろげに描いていた。それを現実は否定し地域紛争とテロの世紀へと変えつつある。宣戦布告による二国間の戦争はなくなった。紛争を国家の概念から論じては、21世紀の未来を見失うことになる。
コメント (1)
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