国連は2014年を家族農業年として一年間、家族型農業の重要性を訴え支援してきた。そして昨年12月に開かれた国連総会で、2019年から2028年までの10年間を「家族農業の10年」とすることが採択された。国連は家族農業の重要性を訴えている。本ブログでも家族農業を中心とする小農業の重要性を当時から書いている。家族農業の重要性を再度にわたって訴えに、家族型農業の人たちは期待を寄せている。
大型農業が国際競争力があるというのは大きな間違いである。生産コストが上がり、不良な農産物を大量に販売する。国境を越えて季節を越えて、食料を販売する形態に持続農業の可能性はない。環境を破壊し大量のエネルギーを投入しこの世に存在しない生物を遺伝子の組み換えで創出する危険性など、一時の経済効率だけが、農業を不遜な形で巨大化させているのである。
現在地球上には74億人の人間が住んでいる。約10億人が肥満になり12億人が飢餓に直面している。飢餓状態といっても3割ほど不足しているだけである。肥満といっても倍も食べられるわけない。食料は間断なく均等に近い状態で得られなければ意味がない。食料の価値は価格で判断するのは困難である。食料は戦略物資になりのは、この特性にある。
その一方で世界の先進的畜産の家畜は、生産を上げるため穀物を多給され飽食を強制され肥満に喘いでいる。日本では人間と同量の穀物を家畜が食べている。先進国では、来たるべき食糧危機は畜産の分野で始まる。
世界の食料の8割は4億戸の家族型農業が支えている。国連は家族型農業とは、「農業労働の半分以上を家族が担っている形態」と規定しているが、これは古くからある農家のスタイルであって、何よりも地域資源や環境に密着した持続型農業といえる。世界の貧困と飢餓にあるのも、途上国の農村地帯である。家族型農業を守ることは、食料生産の担い手を先ず飢餓から救うことになり、地域社会の安定に寄与する。テロの多くは貧困が生むものである。家族農業を国が支援することによって、政情が安定することを国連は挙げている。
家族農業の支援を拒否しているのは、大企業に牛耳られている政府である。日本も例外ではない。大企業は食料を商品として評価し価格だけで動く。日本の種子法かや市場法など邪魔であるし、GM商品でも医薬品処理の畜産物でも一向にかまわない。食料の質などお構いなしである。
狭く水量が豊富な日本の風土は、家族農業に最も適合している。アベノミクスで日本はやれ行けドンドンで巨大化を目指している。この狭い風土で大陸型で日本の風土と異質の農業は食料の自給さえ放棄することになる。家族型の小規模農業が世界を救う。