パレスチナでは急進的なハマスと穏健派のファタファの武力抗争が激しさを増している。アッバス議長は、ハマスのハニヤ首相を解任して、連立政権は崩壊した。
パレスチナの和平はすっかり遠のいた。パレスチナ内では支持の高いハマスの台頭に対して、イスラエルもアメリカも快くは思っていない。元々戦闘集団であるハマスが、そうした策略に乗ったのだと思われるが、アラファト亡き後このような事態は当然予測はされてはいた。
ヨルダンでは、シリアの介入を如実に語るハリハリ元首相の暗殺以来、同国を巡って内部抗争が絶え間なく起きている。昨日も反シリア支持の議員が暗殺された。
イラクでは、アメリカの治安のための増派でさらに、シーア派とスンニー派の抗争が激しさを増している。ア メリカ兵士の死亡が先月は開戦以来最も多かった。
最も神聖であるモスクが攻撃破壊された。かつては相互に決して手を出さなかった神聖域にまで攻撃をする、憎悪はすでに末期状態といえる。日本は、ここにさらなる軍事支援をするという不見識は理解しがたい。
イ ランの核開発にも、アメリカも国連も結局は歯止めをかけることもできずに、いたずらに勢力の拡大と石油の高騰を許すことになっている。イラクの失政で身動きとれないアメリカは、イラン攻撃を具体化できずにやきもきするだけである。
アフガニスタンは、タリバンが勢力を盛り返し反転攻勢をかけている。ビン・ラディンは健 在だと先頃、声明がでたのもこうした自信からであろう。
他方、なんとしてもEUの加盟したいトルコは、EU諸国におべっかを使う一方でクルド問題でイラク、アメリカに対峙したままである。
中東問題は、他国が一切手を引いて、武力抗争の発生地点だけに、国連などの利害関係のない国々が必要に応じて、介入するべきである。大国が利権とメンツで行う暴力行為は、徒に混乱を引き起こすだけである。
平和憲法を持つ日本は、そうした調停に最もそれに相応しい位置にいるべきだったのにと、今の日本を見て嘆くばかりである。