そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

TPPを誰が望むのか

2011-01-06 | ドーピング

自由貿易が大原則のように、巷間言われている。自由貿易こそが世界を発展させるのだと。消費者には安価なものが提供され、利益を受けるのが自由貿易だというのである。消費者が政治を動かす主体なる事はない。消費者は王様だともてはやされたりもするが、結局は生産構造を握るものが社会体制の主体になり法を作り制度や規制を設けるのである。

自由貿易についても同じである。生産者の利益の模索に過ぎない。自国の産業の強化が前提である以上、どのような国家も自国の産業の発展のための自由貿易である。その自由貿易も建て前であることが多く、実際には国内で良いだけ保護して、輸出産業に仕立てているのである。

日本の自動車産業が輸出奨励の多額の免税処置を受けているのもその一例である。アメリカの農業などは、常に政府へのロビー活動を絶やすことがない。外見上はFTAであってもEPAであってもあるいはTPPにしても、自国産業については基本的に保護主義を貫いている。自由貿易の究極の形と思われる、多国間でTPPが行われるようになるとこうしたことが必ず矛盾として吹き出してくる。自国産業への保護主義が台頭するからである。

そのことに気が付いているのが、EUであり中国である。世界各国為政者は、ぜい弱な政権基盤をもてあまし、内政ばかりに取り組まなければならない状況である。内外無差別は、制度まで及ぶのは時間の問題である。自由貿易は強者が市場を制するのではなく、弱者が収奪されるのである。その結果、強者に資本が集中することになる。

近代国家あるいは政治体制は、人権の擁護と富の分配が大原則である。自由貿易は、こうしたものを一方的に破壊してしまう。あるいは、経済力のない地域もしくは国家を疲弊させることになる。格差が増大するためである。

21世紀は自由経済などと言う、乱暴なグローバルな経済体制を作り上げることではなく、地域ごとの自主性、自立を推進する社会の仕組みを作っていかなければならない。環境問題にしても食料問題にしても福祉活動にしても、自らの手の届く範囲の中で、生産し規制し支え合うことが必要である。

大量生産される農産物もエネルギーも必ず矛盾が生じることを、人類は20世紀で学んだはずである。同じく大国は必ず軍事力を誇示し、資源国家や地域に対して紛争を起こすことを、20世紀で学んだはずである。そして、軍事力が紛争を解決しないことを、イラクやアフガニスタンから、アメリカも学んだはずである。21世紀は地域の活動から世界を作り上げる社会にしなければ、未来は展開しないと思われる。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« TPP論議は普天間のわび状である | トップ | 韓国口蹄疫の拡大と鳥インフ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ドーピング」カテゴリの最新記事