詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

中井久夫著作集11

2021-02-24 13:09:11 | その他(音楽、小説etc)
中井久夫著作集11

11に収録されているのは、2020年、2021年に触れてのものではない。
でも、いまを分析しているとしか思えないことばがある。射程の長さとは、そういうことである。
「「雪崩」の背景を読む」の209ページ。
中井は、中井の世代が消え去ると、戦争の悲劇が忘れ去られる、と書いている。これは安倍、菅の言動をみればその通りだとわかる。
その、戦争の風化と関連させて、中井は日本の将来を心配している。日本人の、一方に傾く傾向を心配して、こうことばをつなぐ。

「日本人が変わったのだろうか。いや、むしろ、貧困が、将来の不安が、群衆に雪崩を打たせたのではなかろうか。」

安倍以降の、若者の右傾化は貧困と密接に関係しているというのは私の見方だが、無意識に中井に影響される形で、そう考えているのかもしれない。
ジャーナリズムの右傾化も同じ。儲からないので、広告を手配してくれる電通自民党に頼るしかないのだ。このままでは潰れる、という不安がジャーナリズムを支配している。

また、「情報に生命を吹き込む」には、次のことばがある。238ページ。

「情報は発生した時すでに時遅れである。」

コロナの状況を言い当てている。
菅の把握している情報はすべて時遅れ。後手後手なのは、菅に情報を読む力、何が起きているか、何が次に起きるかを想像する能力がないからだ。
コメント
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