詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

カルビーノ「パロマー」(2)

2021-02-27 08:48:52 | その他(音楽、小説etc)
イタロ・カルビーノ「パロマー」(2)

カルビーノを読むと、私はベケットを思い出す。
カルビーノのことばは疾走し、飛翔するのに対し、ベケットのことばは停滞し、ブラックホールの重力のように何もかも飲み込む。いわば対極にある。しかし、類似点がある。

「言葉をかみしめることについて」の141ページ。

「これから言おうとすることや言われないことばかりでなく、言うと言わざるとにかかわらず、いつかは自分か他人の口から言われたり言われなかったりすることについても洩らさず考えておかなければなるまい」

洩らさず、ということばが二人を結びつける。
ベケットもカルビーノも、洩らさずに書くのだ。
書くことがないときさえ、書くことがないと書くことができる、と。
この、ことばの、果てしない運動。
これはたとえばジョイスと比較すればわかる。
ジョイスには書いても書いても書くことがなくならない。ことばを作り出しても、まだことばが足りない。

でも。
作家はみんな同じともいえる。
「蛇と頭蓋骨」の133ページ。

解釈なんて不可能だ。考えるのを止められないのと同じことだ。

ことばに出会ったから考えるのか、考えるからことばから逃げられないのか。
とりとめもなく、ただメモを残しておく。
コメント
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