「さるギリシャ大植民地にて、紀元前二百年」。とてもおもしろい一行がある。
重箱の隅までつつかれ、刻まれ、粉々だあ。
ギリシャに「重箱」はないだろう。だから、これは意訳。
さて。
ここからが問題。
「重箱」がないとして、それでも「重箱の隅までつつく」に類似した言い方はないといえるか。他の部分に書いてあるが、「些細なことを問題にし」難癖をつけるというのは、どの世界にもあることだからね。
だからね……というのは、私の飛躍なのだが。
だからね、ことばを読むときは「動詞」を中心にして読まないといけないのだ。動詞とは、つまり肉体の動きだが、その肉体の動きは、どのひとにも共通するものがある。肉体にできることは限られているからね。肉体は「概念」ではないから、他人とまったく違ったことができる人は限られている。みんな、似たりよったり。
だから、感情も似るんだろうなあ。
カヴァフィスの時代のギリシャも、カヴァフィスが描く紀元前のギリシャも、わかったつもりになれるんだろうなあ。
これは、だから、注意しないといけない、ということかもしれないのだが。
つまり、「わかったつもりになるなよ」と。
だから。
この一行、中井の訳は、ちょっと「意地悪」でもあるね。
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