詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

雨が止むと、

2015-04-10 01:05:31 | 
雨が止むと、

雨が止むと、闇が街角から這い出してきた。あるものは輪郭のあるものをつつみながら高さを目指した。街路樹の濡れた肌は、内部の色を吐き出し、根本の土を驚かせている。あるものはアスファルトと雨の残した水分のあいだに忍び込み、いくつもの鏡をつくり出した。信号が変わると、家へ帰る車のブレーキランプの色が、踏み割られたガラスのなかに赤く輝いた。ビルの窓に、その赤が映るのを見ている人がいた。

黒いまま光っているのは、ビルのあいだの川である。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 北川透『現代詩論集成1』(15) | トップ | 吉本洋子「春になれば」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

」カテゴリの最新記事