青い花
小さな恋ほどの露草の花を
はげしい驟雨がぬらしていつた
「小さな恋」とは嵯峨の恋。それは「いま」というよりも「記憶」だ。
その「記憶」を驟雨が激しく濡らして行った、と書くとき、嵯峨の記憶のなかに何が去来しているか。
「はげしい」と書かずにはいられない何かだ。「はげしさ」が驟雨の形をとったのだ。名詞が修飾されるとき、名詞の意味よりも、修飾語(形容詞)の方に作者の思いがこめられている。形容詞は用言、一種の「動詞」である。用言をつかうとき、つかうひとの肉体は無意識に動いている、と私は感じる。用言に、私の肉体自体が誘われる、と言い直すことができる。
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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
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