詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『小詩無辺』(1994)を読む(2)

2020-01-20 00:00:00 | 『嵯峨信之全詩集』を読む


窓の近くに
大きな黄金色のザボンの実が重く垂れさがつている

 これは詩の三連目の二行である。ひとつの情景の描写である。描写そのものには謎はない、ように見える。しかし、実は謎だらけである。
 なぜ、嵯峨はザボンを「現実」の中から選び出したのか。さらに「大きな」「黄金色の」「重く」「垂れさがつている」と描写を重ねるのか。それは「ザボンが実っている」という描写と、どこが違うのか。
 どのことばにも「意味」がこめられている。そして「意味」が重なることで「謎」になるのだ。








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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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