ほとんど全編、ロキシーの里帰りの話だったのだけど。。。
おかげで、
前回のパウロの話を見たあとでずっとひっかかっていた違和感が理解できた。
この物語、「親子愛の押し売り」をするところが、どうにも気持ち悪いんだな。
なんていうか、『クラナド』なんかのKey作品にあった気持ち悪さに通じるもの。
単に杉田ボイスのムダなエロが多いだけでなくて。
愛の押しつけが多いから。
ということは、承認欲求への渇望が強いから、どうにも気持ち悪い。
ようやく、この作品がどうも好きになれない理由がわかった。
親子愛にまで承認欲求願望を投影する作品だからここまで気持ち悪いのか。
要は、一昔前のガチなヒキニート・オタクの願望が詰まった作品だからなんだ。
かわいい女の子に持てたい、
なんか全能感を感じる力を持ちたい、
親や周囲の大人に認められたい、
そういう、ヒキニート生活では満たされない承認欲求の全てに答えてくれる夢の世界が、ルーデウスとして転生した世界にある。
そりゃ、好き嫌いが分かれるわけだ。
だって、物語設定そのものが気持ち悪いのだから。
特に親子愛をむりやりつけてくるところが、完全に『クラナド』と同じなんだな。
だから、この作品は、Key作品を異世界転生にまで持ち込んだところが、一定量のヒキニート・オタクにウケた理由だった、ってことになる。
よく、なんで『無職転生』は『転スラ』に負けたのか?って疑問を見かけるけど、そう考えれば自明だよね。
だって、転スラの前世の人である三上悟は、ゼネコンに勤める30代の、見た目は独身貴族で、全然ヒキニートじゃないから。
確かに恋人はいなかったけれど、それはどうやら趣味人にすぎて恋愛ごとに時間やお金を費やさなかっただけのこと。
ゼネコンの後輩にちゃんと慕われるくらいの普通の社会人で、趣味人ではあったけど、全然ヒキニートではなかったから。
というか、ゼネコンで営業をちゃんとこなせるくらいなのだから、普通に大卒で、普通にコミュニケーション能力もあった、ってことでしょ?
というか、そのあたりの能力は、転生後のリムルの言動を見てれば自明だけど。
リムルも女子に興味を示すけど、それもライトなエロ程度のことだし。
ルーデウスのような、煩悩丸出しのウヘヘ顔なんてリムルは絶対しないし。
その意味では、性差のない無性のスライムに転生した、というリムルの初期設定も良かった。
その結果、男性からも女性からもともに好かれても変に恋愛沙汰でこじれない、という展開に持ち込むことができたから。
その結果が、テンペスト住民の過剰なまでのリムル信仰なわけで。
でも無性で万能な存在なら、そりゃあ下々からみたら神様だよね、リムルは。
そうしたリムルの快進撃を見ることのほうがお気楽で楽しい、というのが主流の「なろう」だった、ってことだよね、きっと。
ということで、今回のロキシー回。
ロキシーが久しぶりに登場したのはいいし、ちゃんと以前にルーデウスが出会ったロキシーの両親が再登場することでルーデウスの生存が確認される、という展開もうまいな、と思うのだけど、
でもそれ以上に、家族愛の押しつけがどれだけ鬱陶しいものか、改めて思い知らされた。
少なくとも、前回のパウロの一件の直後にこのロキシーのエピソードを持ってきたということは、作者ならびに製作陣は、家族愛の押し売りをしたい、ということだよね。
でもさ、それはファンタジーを楽しむ上ではノイズでしかない、夾雑物でしかない。
ともあれ、『無職転生』がどうにも好きになれない理由がよくわかった。
これじゃ、第3者に勧めるのも難しいよね。
だって、要するに美少女ゲームを一般人に紹介するのと同じだもの。
それはありえないでしょ。
だってキモいもの。
過剰に作画を良くするのは、逆に製作陣も作画や視聴体験の心地よさで繋ぎ止めないと視聴者の幅が広がらないから、と知っているからなのだろうな。
それでも難しいと思うけど。
だって『転スラ』のほうが無害なぶん、素直に娯楽として見れるじゃないw