写真はエレバンから見たアララト山(大、小)です。アララト山は旧約聖書のノアの洪水で方舟がたどり着いたされるところです。したがってキリスト教徒であるアルメニア人には聖地です。アルメニア人の民族意識の中心となる聖地です。ところが現在はトルコ軍の管理下にあり、アルメニア人の立ち入りは禁止されています。
アルメニア共和国の現外相はインタビューに答えて次のように言っています。「このビルからあの山までわずか40キロ。手を伸ばせば届きそうなほどです。それなのに私たちは決してあの山には行けません。アララト山はアルメニア人の誇りであると同時に、挫折の象徴なのです」(NATIONAL GEOGRAPHIC 日本版2004年4月号p130)
また余談ですが、アルメニアのキリスト教を東方正教会の一つと誤解している人がいます。確かに典礼は良く似たところがありますが違います。アルメニアキリスト教会は451年のカルケドンの宗教会議で単性論を理由に異端とされています。その流れにはエジプト、エチオピアのコプト教があります。アルメニアを旅行される方はこのことを踏まえて教会観光をされることを勧めます。