すべて覆面の人たちです。三角帽子はアメリカの黒人迫害団体のクー・クラックス・クラウンに酷似しています。英語版ウィキペディアのHoly Weekの項によればやはりクー・クラックス・クラウンの服装はこれに起源を持つそうです。但し今はこのクー・クラックス・クラウンはカトリックも迫害の対象にしているという皮肉があります。
音楽、鳴り物も無く(どうもサマランカだけのようですが)私には不気味さを感じました。それは同じキリスト教徒にとっても同じのようです。帰国の飛行機で隣り合わせになったベルギー在住のヴィオラ・ダ・ガンバという珍しい楽器の演奏家の日本人上村かおりさんもカセレスでこの行列に出会い不気味さを感じ同行のヨーロッパ人も同じ感想を持っていたという話をしてくれました。
Rimowaさんコメントありがとうございました。今日の写真はいかがでしょうか。
聖週間は英語ではHoly Weekといいスペイン語ではSemana Santaセマナ・サンタといいます。キリストが復活した日(復活祭)の前1週間を祝う宗教的行事です。カトリックと東方教会で主に行われ特にスペインでのものは有名です。今年は4月12日が復活祭に当たるため今回の旅行では各地でこの行事に出会いました。
最初の出会いはサマランカでした。夜の10時ごろから各地域の教会から磔刑のキリストやマリア像などの神輿が出ます。写真は牧師を先頭に教会を出て行く一団です。
2006年5月13日の大祭の時の写真です。
余談ごとですが、ファティマの名前は、アラビア語の女性名ファーティマ(ムハンマドの娘の名前でもある )に由来します。ムーア人(イスラーム教徒)の姫ファティマがレコンキスタの最中にキリスト教国側に捕らえられ、洗礼を受けキリスト教徒となり、1158年にオウレン伯と結婚したという伝説がこの地に伝わっています。(以上ウィキペディアによる)
ということでイスラーム教とキリスト教の接点みたいなところにマリアさんが出現したことがなんとなく面白いと感じるのは私だけでしょうか。
1991年ヨハネ・パウロⅡの来訪時の写真でシスターはルシアです。なお、私は現認しなかったのですがlonely planet (p289)の皮肉な文章によれば「説得力の無いヨハネ・パウロⅡの胸像」があります。
3人の子供たちの写真です。そのうちフランシスコとジャシンタは1919年、1920年に亡くなりましたが、ルシアはその後シスター(修道女)になり2005年97歳で亡くなりました。彼女は2000年に列福されました。
ポルトガルもスペインと並んでカトリック信仰の強いところで人口調査によれば94%がカトリック信者ということです。カトリック信仰の特徴はマリア信仰です。私のような門外漢にはキリスト教は一神教ではなくイエスとマリアの二神教ではないかと思うくらいです。
さてそのマリア信仰の根強さを示す例がポルトガルのファティマです。 lonely planet(p289) はファティマの説明を次のような皮肉交じりの文章で始めています。 「神聖にして侵すべからずか、俗悪な商業主義か。それは奇跡をどの程度信ずるかでファティマについてのあなたの意見・感想は異なるであろう。しかしあなたの信仰がいかようであっても、毎年600万人巡礼者がここを訪れるという信仰心には感銘を受けざるを得ないであろう」
そこで簡単にファティマの奇跡について紹介します。1917年5月13日ファティマで3人の羊飼いの子供たちの前に聖母マリアが現れ、第一世界大戦終結のメッセージを伝えました。それ以後同年10月13日まで6度の出現が繰り返され、その奇跡を信ずる人の病が治癒されたという話が伝わり、多くの巡礼者がファティマを訪れ1956年にはファティマはローマ教皇庁から正式に聖地といて認められました。というわけで前記のようなlonely planet の説明になるわけです。
写真は3人の内2人のお墓がある正面のバジリカ(本殿?)へ向けて膝行する信者です。
トルヒーリヨの街を歩いている時ふと店を覗いて見るとゲバラ(注)の絵が描かれているTシャツを見ました。それを写真に撮って現地ガイドに見てもらい、「知っていますか」と尋ねてみました。彼女の返事は「良く知っていて尊敬している。特に夫は」でした。したがって「ファン・カルロス」への尊敬はありませんでした。「無原罪懐胎」に対してもきっぱりと否定しました。カトリック教徒ではないとのことでした。Lonely planet(p59) によれば人口の6%が無神論者です。
この「無原罪懐胎」についての質問に対して同行の二人の方から嘲笑的批判をいただきました。一つはそんな質問に真面目に答える人はいないというものでした。しかし現地ガイドの答えはかなり真摯だったように感じました。大体4分の3ぐらいの人が肯定的でした。「勿論信じます」から”so so”(チョボチョボ)までの答えがありましたが。もう一つの批判は日本人的無神論的立場からの批判と思われる、「そんなバカなことを信ずる人が今の時代にいるわけが無いから全く無意味な質問」だというもののようでした。アメリカ合州国の多くの人が聖書の「天地創造説」を信じており、かれらがブッシュ前大統領の政治的基盤だったということを考えてみるだけでこの批判は当たらないと思います。
なお、「毎日曜日に教会に行きますか」の質問にはただ一人「仕事がその日に無い限りは」という1人以外は全員が否定でした。 スペインでは1978年に憲法上で国家と教会との分離が定められました。しかし、カトリック教会は国家から財政上の援助を受けています。その点で他宗派から差別だとして批判があります。書類上は80%の人がカトリック教徒ですが定期的にミサに行く人は20%ということです。 写真はトルヒーリヨの現地ガイドです。
(注)ゲバラについては2007年2月18日と2007年7月4日に少し触れていますので参照ください。