採集生活

お菓子作り、ジャム作り、料理などについての記録

シチリアヘビウリのスープパスタ

2012-08-24 | +ふたりの日

だいぶ前、「シチリア名物のズッキーネ、育ててみてね」とお友達に種を頂きました。

(しばらく温存後)今年の春先に種をまいたものの、ポットに名札をつけておかなかったせいで、ほかのカボチャ・ズッキーニ類とごちゃごちゃに。
苗を見ても、どれがどれか分からず、芽が出たのかどうかすら分かりませんでした。

畑に植え替えてしばらく放置後、カボチャにしてはやや毛深い、にょろにょろしたツルに見慣れない白い花がついた植物を発見。

ズッキーニだったら黄色い花のはずだし?
堆肥に種が混入していた雑草かともおもいましたが、どうやらこれがシチリアのズッキーネ。
ウリ科カボチャ属ではなく、ウリ科ユウガオ属の野菜のようです。

これはシチリアで
cucuzza lunga ククッツァ・ルンガ (ククッツァはシチリア方言でウリ一般のことのよう)
と呼ばれています。
「クク」って何か可愛い☆
と思ったら、
ウリ目 Cucurbitales ウリ科 Cucurbitaceae の cucu のよう。
そういえば英語の胡瓜キューカンバーも、cucu ですね。 

zucca serpente di Sicilia ズッカ・サーペンテ・ディ・シシリア シシリアのヘビウリ
zucca lunga ズッカ・ルンガ (長いウリ)
とも呼ばれるそうです。

これはシチリア、およびカラブリア特産の野菜で、夏の風物詩だとか。
ツル先(tenerume テネルミ)や葉とともに調理されたこのウリのスープは、シチリア人にとって郷愁をかきたてる料理のようです。


とても珍しい野菜なので、記念に本場シチリア風の料理を試してみることにしました。
ツル先も摘んできましたよ!


■■ククッツァ・ルンガのスープパスタ
■材料
ククッツァ・ルンガ (日本の野菜だったら冬瓜やユウガオで代用できると思う)
ククッツァ・ルンガのツル(70cm分くらいを3つほど)
ニンニク 少なめ
タマネギ 少なめ  細切り
トマト 粗く刻む
スパゲッティ   手でバキバキ折っておく
顆粒スープのもと (本当は使わないようだけれど、少し入れました)
オリーブオイル (仕上げにかける)
パルミジャーノチーズ (仕上げにかける) 

■作り方
(1)ウリ本体、およびツルを摘んでくる。
ウリが成熟してしまうと、その株の葉っぱやツルは枯れ気味になってしまいます。
なので今回は別の若い株からツルをちょん切ってきました。

(2)ツルのうち食べられるのは、葉と葉柄、および先端部。なので主軸からそれらを折りとる。
これを何度か水を換えながらよく水洗いする。洗うと樹液成分のせいか、水が白く濁って泡立つ感じ。
葉っぱは、毛羽だってもこもこしています。(クズの葉のよう?)
水気を切って、ざく切りにしておく。

(3)ウリはピーラーで皮を剥く。(ごく幼果の場合は剥かなくていいかも)
皮を剥いたところが触ってザラザラしている場合はもう一度ピーラーをかけ、ぬるりとするところまで剥く。
ブロック状にカットしておく。
(種やワタが成熟しすぎて気になる場合は取り除くようだが、今回はそのまま使った)

(4)鍋にオリーブオイルを入れ、ニンニク、タマネギ、ヘビウリを入れて炒める。
更に刻んだトマトを入れ、塩コショウで調味し、たっぷり目の水を加えて10分ほど煮る。
(もしかしたら水を加える前に蒸し煮にするのかも)

(5)煮立ったスープに、ツル部分、およびパスタを入れる。
葉っぱの固さ、パスタの太さによって順番は前後するが、今回、6-8分茹でのパスタの場合、ほぼ同時に入れてみた。
もっと太いパスタの場合はパスタを先に入れる。
(イタリア語のレシピによると、「葉っぱの煮込み時間は5-6分でよく、繊細な食感と味わいを生かすため、茹ですぎないように」とあります。日本人の感覚では、普通に柔らかくなるまで茹でていいと思う)

(6)煮えたら火から下ろし、フタをしたまま2、3分蒸らす。

(7)熱いうちにお皿に盛りつけ、エクストラ・バージン・オリーブオイルを垂らし、パルミジャーノ、もしくはペコリーノチーズをふる。

(8)余ったら冷蔵庫に入れておき、食べる30分ほど前に室温に戻した、ひんやりした状態のものも美味しい。
(ユウガオの煮物も、冷やして頂いたりしますよね。分かる気がします)


写真、いっぱい撮っておきましたよ!
 

zucca_SERPENTE_DI_SICILIA

畑で穫れた、ククッツァ・ルンガ。
皮はやや固めです。

zucca_SERPENTE_DI_SICILIA

スープパスタの材料。
ツルはこの全量を使用(綺麗なところを選んだらすごく少しになった)。
ウリは1/3くらい。
タマネギは半分くらいを使用。

zucca_SERPENTE_DI_SICILIA

こちらがツル先 テネルミ tenerume。
ミラノでも野菜として売られているようですが、一束4~6ユーロもする高級品のようです。
(シチリアの田園部だったら、通りすがりの畑からちょっと失敬してきたり出来そう) 

zucca_SERPENTE_DI_SICILIA

よさそうな葉っぱ、ツル先を軸からもぎとります。
くるくるしたヒゲは、硬いので取り除くようです。
綺麗な葉っぱは割と少なく、どっさりあったように見えたツルですが、全部使うことになりました。

zucca_SERPENTE_DI_SICILIA

洗ってザクザク刻んでおきます。
もふもふと毛深い葉っぱです。 

zucca_SERPENTE_DI_SICILIA

ククッツァ・ルンガ断面。
ワタや種は未熟なので、全部食べられそうです。

zucca_SERPENTE_DI_SICILIA

皮を剥き、大きなサイの目に切っていきます。

zucca_SERPENTE_DI_SICILIA

ニンニク、タマネギ、ウリを炒め・・・

zucca_SERPENTE_DI_SICILIA

トマトも加えて炒め・・・・

zucca_SERPENTE_DI_SICILIA

水を足して煮ていきます。
水は、後でパスタに吸われてしまうので、割と多めに。 

zucca_SERPENTE_DI_SICILIA

葉っぱとパスタを入れ、適宜煮込んで出来上がり!
イタリア語レシピの写真と、結構近い仕上がりになったのではないかと思います。


パルミジャーノもペコリーノもなしだったので、オリーブオイル少々をかけて食べました。
試しにレモンを絞ってみたら、それもよく会いました。

レシピを参考にしたサイトによると、ククッツァ・ルンガは「取り立てて味というほどの味はない」野菜らしいです。
このウリは、ズッキーニよりもデンプン質が少なく、するすると溶けるような食感に感じます。
冬瓜やユウガオを思わせます。
やさしく繊細であっさりした味わいです。
暑い夏、このタイプの野菜は体を冷やす効果もありそうです。


シチリア出身のさる知人は、ミラノでこのスープパスタだけを出すお店を開きたいくらい、大好きなのだそうです。
故郷の味、なんだろうなあ・・。
皆さんは、故郷の味、ありますか?



■参考情報
葉っぱ(テネルミ)入りのスープパスタレシピ(イタリア語・写真多数)
葉っぱなしのスープパスタレシピ(イタリア語・写真多数) 

コメント (30)
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