先日レビューしたオッペンハイマーの「人類の足跡10万年全史」には、壮大な人類の生まれ故郷アフリカから新天地を求めての全世界への逃避行が描かれていた。
同じ祖先を共有し同じDNAを持った筈の人類が、世界各地へ拡散して行くにつれて、全くと言っても良い程、顔かたちが変わってしまい、肌の色の違いが、その中でも、典型的な違いとなり、人種差別にまで至っている。
さて、オッペンハイマーの説くところによると、世界の平均的な肌の色は、相対的に紫外線量と一致していると言うことである。
口絵写真は、この本からの借用だが、アフリカ、インド、オーストラリアが紫外線の強い地域で、元々住んでいた人々の肌は、濃褐色か茶色であり、紫外線量の少ない北ヨーロッパとフランスは、無色素となっている。
この地図には、南北アメリカが載っていないが、緯度から類推すれば、メキシコ以南の中南米が、赤外線の強い地域になるのであろうか。
ユーラシアの人びとの間の皮膚の色の差は、日照の強い熱帯へ行くほどその色は濃くなる。
これは、偶然ではなく、メラニン色素による皮膚の濃さは、いくつかのよく理解されていない遺伝子に支配され、また、進化の制御のもとに置かれていると言う。
熱帯と亜熱帯に住んでいる者にとって、日焼け、火ぶくれ、紫外線が引き起こす皮膚がんによる死亡の可能性は、濃い肌の色を持つことによって激減する。
また、メラニンは余分な熱を効果的に放射し、必須ビタミンである葉酸が破壊されるのを防ぐので、日差しの強い環境下では、濃い肌をした人が平均的に長生きして、子孫を残すことに成功している。
逆に、ヨーロッパでは、皮膚がんの危険度は低くなるが、日光不足による骨の病気、くる病、骨軟化症に危険があり、ロンドンでは、インド亜大陸から移民してきた子供たちは、濃い肌色が日光さえも奪うのでくる病の罹病率が高いのだと言う。
さて、興味深いのは、この地図でも明確なように、オーストラリアが、濃褐色地帯に入っているので、初期のイギリス人移民から白人の多い地域であるために、世界でも最も皮膚がんの割合が高い国で、ヨーロッパ人の子孫たちが、やがて、一般的に濃い肌を持つ方向へ、ゆっくりと進化の道が始まっているのだと言うことである。
そう言われれば、ブラジルの白人なども、時には我々よりも褐色だし、ヨーロッパでも、ラテン民族になると、スカンジナヴィア人と比べれば、雲泥の差である。
少なくとも、このような進化的選択の力が共に働いて、肌の色が緯度によって変わって行き、太陽が促進する肌と髪の色の変化が、遺伝的に伝播して、多くの世代をかけて進化して行き、今日のような人種的な差を生み出したのである。
これに、文化文明的な進化発展が加わって、現在あるような人種や民族の違い、宗教の違いを生み出してきたのだが、その違い故に、軋轢や紛争が、この地球上から消えない。
NHKのBS1のワールド・ウエーブ・ニュースを見ていると、ウクライナやシリア・イラクの熾烈極まりない内戦の惨状が放映されていて、胸が潰れる思いである。
日本においても、歴史問題に名を借りた中国や韓国との国交不和が、生活に影を落としている。
動植物の世界では、種の多様性が極めて重要であって、先に、人類が、極少数の出アフリカに成功した現生人類が、世界に伝播したために、いまだに、瓶首効果からの回復途中にあって、人類全体の遺伝子の多様性が低いいままで、種の多様性の欠如から、相互に影響しあう社会で、伝染病の大流行に対応不十分で危機に晒されていると言う。
動植物界でも、人類の環境汚染や地球温暖化によって、どんどん、種の絶滅で、種の多様化が犯されつつあり、宇宙船地球号を危機に追い詰めている。
個人の間でもそうだが、人には、差別化によって、自己のプライオリティを主張して、少しでも優位に立とうとする傾向が生まれながらにあると言われており、余程、人格者か品性高潔でない限り、その罠から逃げられそうにない。
肌の色による人種差別など、その罠の最たるものだが、その差は、人類が10億年も血の滲むような自然との闘いに勝利して生み出したもの。
同じ人類が、自縄自縛。悲しいことだと思う。
(追記)昨夜は雨で、中秋の名月を見ることが出来なかった。
今夜が、満月だと言うので、庭に出て、雲間から現れる綺麗な月を仰いだ。
この写真は、鎌倉山のそばからの満月である。
同じ祖先を共有し同じDNAを持った筈の人類が、世界各地へ拡散して行くにつれて、全くと言っても良い程、顔かたちが変わってしまい、肌の色の違いが、その中でも、典型的な違いとなり、人種差別にまで至っている。
さて、オッペンハイマーの説くところによると、世界の平均的な肌の色は、相対的に紫外線量と一致していると言うことである。
口絵写真は、この本からの借用だが、アフリカ、インド、オーストラリアが紫外線の強い地域で、元々住んでいた人々の肌は、濃褐色か茶色であり、紫外線量の少ない北ヨーロッパとフランスは、無色素となっている。
この地図には、南北アメリカが載っていないが、緯度から類推すれば、メキシコ以南の中南米が、赤外線の強い地域になるのであろうか。
ユーラシアの人びとの間の皮膚の色の差は、日照の強い熱帯へ行くほどその色は濃くなる。
これは、偶然ではなく、メラニン色素による皮膚の濃さは、いくつかのよく理解されていない遺伝子に支配され、また、進化の制御のもとに置かれていると言う。
熱帯と亜熱帯に住んでいる者にとって、日焼け、火ぶくれ、紫外線が引き起こす皮膚がんによる死亡の可能性は、濃い肌の色を持つことによって激減する。
また、メラニンは余分な熱を効果的に放射し、必須ビタミンである葉酸が破壊されるのを防ぐので、日差しの強い環境下では、濃い肌をした人が平均的に長生きして、子孫を残すことに成功している。
逆に、ヨーロッパでは、皮膚がんの危険度は低くなるが、日光不足による骨の病気、くる病、骨軟化症に危険があり、ロンドンでは、インド亜大陸から移民してきた子供たちは、濃い肌色が日光さえも奪うのでくる病の罹病率が高いのだと言う。
さて、興味深いのは、この地図でも明確なように、オーストラリアが、濃褐色地帯に入っているので、初期のイギリス人移民から白人の多い地域であるために、世界でも最も皮膚がんの割合が高い国で、ヨーロッパ人の子孫たちが、やがて、一般的に濃い肌を持つ方向へ、ゆっくりと進化の道が始まっているのだと言うことである。
そう言われれば、ブラジルの白人なども、時には我々よりも褐色だし、ヨーロッパでも、ラテン民族になると、スカンジナヴィア人と比べれば、雲泥の差である。
少なくとも、このような進化的選択の力が共に働いて、肌の色が緯度によって変わって行き、太陽が促進する肌と髪の色の変化が、遺伝的に伝播して、多くの世代をかけて進化して行き、今日のような人種的な差を生み出したのである。
これに、文化文明的な進化発展が加わって、現在あるような人種や民族の違い、宗教の違いを生み出してきたのだが、その違い故に、軋轢や紛争が、この地球上から消えない。
NHKのBS1のワールド・ウエーブ・ニュースを見ていると、ウクライナやシリア・イラクの熾烈極まりない内戦の惨状が放映されていて、胸が潰れる思いである。
日本においても、歴史問題に名を借りた中国や韓国との国交不和が、生活に影を落としている。
動植物の世界では、種の多様性が極めて重要であって、先に、人類が、極少数の出アフリカに成功した現生人類が、世界に伝播したために、いまだに、瓶首効果からの回復途中にあって、人類全体の遺伝子の多様性が低いいままで、種の多様性の欠如から、相互に影響しあう社会で、伝染病の大流行に対応不十分で危機に晒されていると言う。
動植物界でも、人類の環境汚染や地球温暖化によって、どんどん、種の絶滅で、種の多様化が犯されつつあり、宇宙船地球号を危機に追い詰めている。
個人の間でもそうだが、人には、差別化によって、自己のプライオリティを主張して、少しでも優位に立とうとする傾向が生まれながらにあると言われており、余程、人格者か品性高潔でない限り、その罠から逃げられそうにない。
肌の色による人種差別など、その罠の最たるものだが、その差は、人類が10億年も血の滲むような自然との闘いに勝利して生み出したもの。
同じ人類が、自縄自縛。悲しいことだと思う。
(追記)昨夜は雨で、中秋の名月を見ることが出来なかった。
今夜が、満月だと言うので、庭に出て、雲間から現れる綺麗な月を仰いだ。
この写真は、鎌倉山のそばからの満月である。
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