地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

炭都撫順鉄狂録 (8) 明日へ走れムーミン!

2006-10-08 00:25:11 | 中国の鉄道


 これまで8回にわたってお送りしてきた満鉄の置き土産・撫順訪問記も今回が一応最終回。そのトリを飾るのは……流線型の前面スタイルがまるで「ムーミン」のようでユーモラスな802編成です! この電車、一応正面以外は全て他のYZ31形客車を改造した電車と同じスペックでして (ただ、車内はこの電車が一番キレイかも知れません)、取り立てて何が素晴らしい……ということもなく、弱気な釣掛音を響かせながらノロノロと走ることしか能がないのですが (^^;)、とりあえず流線型のジテに代わって通勤電車のスターにしたい (?) という炭鉱鉄道側の意気込みのようなものが伝わって来ます。



 そんな「ムーミン」が、西露天鉱の東南に位置する終点・劉山駅で佇んでいるのが↑の画像です。昔は恐らくたくさんの貨車が出入りしたであろうヤードは夏草に覆われ、恐らく満鉄時代からのものと思われる背後の石炭積み込み施設も放置されて風化するに任せる状態……。そして、劉山の街の中心から田舎道を数分歩かないとたどり着けない劉山駅に集まってくる客の数もまばら……。ただでさえこのような情景の中を走っていますので、「この先撫順の西露天鉱が閉山になったら一体この通勤電車はどうなってしまうのか」と心配で仕方がないのですが、出来ることなら露天掘りの底へ向かって十数段のスイッチバックで下降して行く壮大な専用線そのものを観光鉄道として活用してもらい、そこでこれら通勤電車たちが活躍できれば……と妄想しています (^^;
 ちなみに、上の画像を撮影したとき、車掌のオバチャンたちが走り始めた電車のドアを開けて、私に向かって手を振ってくれました。そんな控えめな親切さが思わず嬉しくなってしまうような中国の地方都市の味わいをこれからも残しつつ、撫順の街とその鉄道が発展することを願っています (^^)。

 最後に、今回の撫順訪問にあたっては、にしやん様のサイト「撫順鉄道案内」(残念ながら既に閉鎖)をフルに参考させて頂きました。ここに改めて心より御礼申し上げます。m(_ _)m