この週末に発売となった鉄雑誌最新号のうち、RJ誌とRM誌が青蔵線を取り上げていました。ただ、RJ誌は観光と帰路の話がメインで、RM誌はいつものように表紙で煽っておきながら中身はそれほどでもなかったりと、必ずしも車両派・撮り鉄派にとって十分満足の行くものではなかったような気がするのは気のせいでしょうか (^^;)。
当ブログではそんな、いま話題 (?) の青蔵線に関する話題をお届けしてきましたが、とりあえずラサ駅以外では撮っていないので今回で完結です (^^;)。その最終回の目玉はこちら……東風8B型9000番台の超レア塗装・「雪域神舟」バージョン! 9001と9002の2両がこの塗装で、9003以降の車両は中国の他の東風8Bと同じ紺+クリーム+赤帯の特快塗装となっていますので、僅か2両しかないこのバージョンを1000km以上もあるゴルムド~ラサ間で見つけて撮影するのは至難の業だと思われます。しかもどの営業列車も3重連であることから、必ずこの「雪域神舟」が先頭に出るとは限りませんし……。
というわけで、↑の画像を撮影できたのは非常に貴重な機会ではありましたが、これも機務段の入り口から超望遠撮影し、さらに大幅にトリミングした結果に過ぎませんので、近くに寄って大写し出来たわけではないのが残念……。
それはさておき、「神舟」とは何ともはや、かの有人宇宙飛行を行った「神舟6号」に刺激されてのネーミングなのでしょう。しかもわざわざチベット語まで併記されています。そんなスペシャル塗装にした割にはその後増えなかったのは、やはりチベット語を記入するのが面倒だったからでは?と勘繰っています(苦笑)。
いっぽう、青蔵線のスペシャル塗装といえばもう一つ、この酸素供給装置付き客車を取り上げないわけには行きますまい。青蔵線の新規開業区間は標高4500m以上の区間が延々と続き、最高地点は5072mであり、海抜が低いところに住んでいる人間にとっては酸素が余りにも薄く、高山病の危険ともろに隣り合わせの過酷な路線であることから、カナダの航空機・鉄道車両メーカーであるボンバルディア車との合弁により、床下に酸素供給装置・与圧装置を備えた豪華な車両を製造し投入しているわけですが、その基本的なベースとなっているのは、最近大都市間のノンストップ豪華特急列車用として集中投入されている25T型です。
しかしまあ……夏の開業を控え、一体どのような塗装とスペックを備えた車両を投入するのか、ネット記事を注視していて心底驚いたのは、最近の中国国鉄の車両がどんどんカラフルになりつつある中で敢えてかつての標準塗装であるダークグリーンを採用したことです。
中国国鉄のダークグリーンの車両といえば、これまで当ブログでもご紹介している通り、車体強度を上げるためのコルゲートが入った計画経済時代以来のボロ客車・22系がパッと思い出されるわけですが、他に90年代中頃から猛烈な勢いで増備が続く25系客車の中でも、低所得層輸送用として製造された非冷房2段窓の25B型もダークグリーンを踏襲しているなど、総じてこの色は「人民列車」を代表しているような印象があります。
というわけで私は当初、国際的にも注目を浴びる豪華観光列車を作る以上、間違ってもこんなダークグリーンはあり得ず、たぶんチベットの自然に合わせた新塗装を用意するのではないかと予想していたのですが、見事にハズレてなおさらショック(笑)。
しかしよくよく考えてみれば、共産党の要人輸送用に用意されている「専運」列車も、やはり最新の設備ながらもダークグリーンを纏っているわけでして……。そこで、ダークグリーンは決して計画経済時代の遺物や「貧困人民列車」の象徴というにとどまらず、あくまで「共産党が支配する国」を最も象徴する塗装であるという風に考えれば、中国共産党政権が独立論くすぶるチベットに対する国家主権の行使として執拗にこだわって建設したこの鉄道の列車にもダークグリーンを塗るのはある意味もっともらしい、と考えることも出来ます (-_-;)。
というわけで、中国の大都市とラサを直接結ぶシンボルとしての使命を帯びた、何やらいろいろな思惑を漂わせた列車が、こんな感じでゆっくりと私の目の前を走り去って行ったのでした。脳天気に笑顔を見せ合う観光客の大群を乗せながら……。
青蔵線ラサ駅での撮り鉄シリーズはこれでおしまい。お楽しみ (?) 頂きありがとうございました m(_ _)m
なお、乗りたいとお考えの方は、日本人だけで一等寝台車(軟臥車)の4人用コンパートメントを確実に独占することをくれぐれもお忘れなきよう。(それが何を意味するのかは、乗れば骨身にしみて分かるはずです ^_^;)