インドネシアの特急列車は通常1等「エクセクティフ」と2等「ビズニス」によって組成されていますが、それとは別に、米国のアムトラックと類似の旅客列車専門運営会社がインドネシア鉄道に委託して走らせている特急列車があり、一律に「アルゴ Argo+個別の列車名」を名乗っています。そしてこのアルゴ、驚くべき (?) ことに全車両が1等車によって組成され、塗装もアルゴ・オリジナルのグレー+オレンジ波模様となっています。インドネシアの客車列車は、ドアの脇に大きく等級が数字で分かりやすく示されていますが、そこに輝く「A」の字(もちろんArgoを意味) はまさに最高級・最速の証……。運賃も、普通の特急列車の1等車と比べてやや高め。ま、その分簡単な供食サービスがあるようですが、具体的に美味いものが出てくるのか否かにつきましては、乗っていないので分かりません (^^;)。
何はともあれ、ピカピカに磨き上げられたアメロコが、アルゴ客車の長大編成を牽引して迫ってくる光景は、日本の中古冷房車を追いかけるのと並んで、インドネシアの鉄道のもう一つのお楽しみであると断言出来ます。とくに↑の画像は、1両目に超豪華サロンカー「バリ」を組み込んだ、ジョグジャカルタ経由ソロ(スラカルタ)行き「アルゴ・ドゥイパンガ」が、独立記念日にちなんだメラ・プティ(=インドネシア国旗)も凛々しく、ゆっくりとマンガライ駅に進入する光景! いや~余りの威風堂々ぶりに感激しました(*^^*)。
ちなみに、超豪華サロンカー「バリ」の車内につきましては、インドネシア鉄道公式HPの「kereta Wisata (行楽車両)」紹介コーナーに画像がアップされています。バリ島の超高級リゾート然とした、チャラさとは無縁の最高にシックな木製の内装が素晴らしいのひとこと……。こんな車両でオフ会なんてやってみたいものですが、まぁ永遠に無理か (笑)。なお、日によってはもう1両の超豪華サロンカー「トラジャ」(スラウェシ島のトラジャ文化がモチーフ。こちらの内装も凝りに凝りまくり……) が連結されています。
一方こちらの列車は……ガンビール到着後マンガライに入庫する回送列車を撮りましたので、どの列車かは分かりません (^^;)。1両目に連結されている車両は、1枚目の画像の1両目「バリ」とよく似ていますが、何と言うことはない……ただの電源車です (^^;)。機関車は流線型で、優等列車牽引機にふさわしい特別な雰囲気を醸し出していますが、終着駅での方向転換という気の利いたことはしませんので(そもそもガンビール駅の構造から言っても無理)、流線型マスクが連結面として引っ込み、如何にもアメロコの2エンド然とした馬面が正面に出たまま長距離を牽引するというのも日常茶飯事です。
客車に話を戻しますと、同じ「アルゴ」を名乗っていても列車ごとに、あるいは個別の客車の製造年ごとに、車体構造やアコモデーションの面で違いがあります。その中でも、最もデラックスな列車として位置づけられているらしく、台形断面の特別な車両が用いられているのが、ガンビールとスラバヤを結ぶ「アルゴ・ブロモ・アングレック」(「ブロモ山の蘭の花」の意)。インドネシア鉄道公式HPの「ギャラリー」コーナーを見ますと、代表的列車ごとの車内&外観を画像でチェックすることが出来ますが(今はほぼ消滅した旧塗装車の画像が多いのがトホホ ^^;)、最高級列車らしくフットレストがあるあたり、かなりのものとお見受けします。しかも、塗装も蘭の花をイメージした洒落たパープルに変更中……。
とにかく、暑くて暑くてかなわない赤道の国・インドネシアも、アルゴ系列の特急列車を利用する限り、極めて快適な旅を楽しめること請け合いです。私もいずれ、超豪華サロンカー「バリ」を利用して、古都ソロおよびジョグジャカルタ、世界遺産ボロブドゥールおよびプランバナンをめぐってみたいものですが、さてそれはいつ出来ることやら……。と申しますのも、バックパッカーの血が疼いて、オール3等急行列車の忍耐旅なんてのも久々にやってみたいなぁ~と思っている「心の中のもう一人の自分」がいるもので……(笑)。
蘭(アングレック)の花びらをイメージした腰回りの塗装がポイント。
ゴンダンディア駅で撮り鉄していたところイキナリ現れた「トラジャ」。