地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

ジャカルタ炎鉄録 (21) スカブミ線のDC

2009-09-28 05:17:00 | インドネシアの鉄道


 バンドゥンを訪問した後は、往路に利用した「パラヒャンガン」と比較する意味で「アルゴ・グデ」に乗っても良かったのですが、『地球の○き方』をパラパラとめくるにつけ、「バンドゥン~ボゴール間の路線バスは風光明媚なプンチャック峠を越えて走る」云々……という記述に惹かれたのでした。というわけで、活火山を望む峠越えの絶景バスと、ボゴールからの急行電車の組み合わせでバンドゥン日帰りの旅をシメるなんて最高じゃん!!というワクワク気分で、バンドゥン市内南部にあるルゥイ・パンジャン・バスターミナルに行ってみますと、広大な構内にはジャワ島各地へ向かうバスがズラ~リ。そこで、ボゴール行きの冷房付きデラックスバスに乗り込んで、客がある程度たまったら出発進行~。
 しかし……そんな期待は間もなく木っ端微塵に崩壊したのでした。何と……ボゴール方面への一般道には入らず、プルワカルタ~ブカシ経由ジャカルタ方面への高速道路(完成ほやほや)に入ってしまった……(T_T)。そして、ジャカルタの手前で環状道路に入り、ジャカルタ~ボゴール間の高速道路を経由して、「雨の街」の別名通りスコール降りまくりのボゴールに到着……。そりゃまあ、高速道路からもそれなりに茶畑や棚田の風景は見え、乗り換えなしの所要3時間の旅は快適であることも確かですが、こんなことならガンビールまで特急列車に乗り、さらに急行電車に乗り換える方が全然良い……。
 ともあれ、既にそのような運命としてボゴールに着いてしまったので仕方がありません。高速道路は鉄道・濃いぃ路線バス趣味の双方にとってつくづくマイナスだなぁ……と思いつつ、メチャクチャ車内が狭いアンコタ(ミニワゴン使用のミニバス)に乗ってボゴール駅に向かったのでした。そして、ジャカルタまでの急行の切符を購入して構内に入りますと……ををっ!電車区の中には黄緑色のDCが!



 この車両は、ボゴールからチサダネ川の渓谷へと分け入り、山間の街・スカブミとの間を結ぶ「ブミ・グゥリス (美しきスカブミ)」号に使用されている日本製DCでして、しばらく運休していたスカブミ線が昨年運行再開となったのに際し、整備のうえ新塗装をまとい今日に至っているようです。クッション付きセミクロスの車内ゆえ、バンドゥンのDCと同様2等車=ビズニス扱いで、座席数を増やすためか中央の扉が埋められて2扉となっていますが、その後乗客増に伴い増結したと思われる車両は3扉のままで、正面の「Bumi Geulis」の表示もないなど(その代わりに新造時からのV字状装飾あり)、やや趣が異なるのは興味深いところです。
 しかし、何と言ってもビックリ仰天したのは……まだ電車区の構内に留置されている段階から、乗客が駅舎からワラワラと歩いて乗り込んでおりまして、電車区からホームへと入換する時点では既に満席!立ち客多数! (滝汗) 鉄道関係者の誰もとがめ立てせず、電車区構内への一般客立ち入りが当たり前になっているあたり、何ともユルくのんびりした風情を感じます……(^^;)。というわけで、DCを撮るべく電車区詰所に向かい許可を願い出たところ、返ってきた答えは「OK! Welcome!」。そういえば、衝突事故を起こした6151Fと乗客満載のDCが同じ線路上に留置されているという光景も、考えてみればスゴい……。
 そうこうしているうちに、夕方5時少し前にホームへと入換がなされ、5時の定刻通りにスカブミ行が発車して行きました。ボゴール駅のスカブミ方には交通量の多い踏切がありますが、普段はキセル客防止のためか、線路に設けられた門が閉じられており、スカブミ線列車が通過するときのみ開門されます。
 こんな感じで見送ったスカブミ線のDC……自然豊かな渓谷を走るということで、是非一度乗ってみたいものですが、運行は毎日1往復、夕方にボゴールを出発し、翌朝まだ暗い頃にスカブミを出発するのみ……。日中の観光列車の運行、そしてスカブミ~バンドゥン間の運行再開を期待したいですね……(それが実現すれば、バンドゥンからボゴールまでの移動手段として使ってみたいですが、のんびり走る各駅停車では先述の高速バスよりもはるかに時間がかかるのも事実。やはり難しい話なのでしょうか……)。