地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

ジャカルタ炎鉄録 (18) 哀愁の3等客車列車

2009-09-18 05:06:00 | インドネシアの鉄道


 初めて&短期間のインドネシア訪問で不慣れな中、快適な1等車=エクセクティフの旅にうつつを抜かしていた私は、我ながらつくづくオッサンになってしまったなぁ……と思ったものです (^^;)。その一方で、ボロくとも健気に庶民を満載して走る非冷房の客車列車を眺めていると、かつて18きっぷを使って非冷房の旧客・DC・115系などを使って汗を拭き拭き旅した10代の頃や、車内もホームも超カオスの中を数十時間乗り通した中国緑皮硬座車の旅 (最近の中国で一般的な空調付き硬座車は、ハッキリ言って硬座ではなく高級軟座です。爆) が激しく思い出され、カメラを構える自分の脳内もカ~ッと熱くなってしまいます (笑)。
 そんなインドネシアの非冷房3等=エコノミー客車列車は、現在塗装変更の総仕上げ段階につき、ほとんどがオレンジ+ブルーの新塗装、ごく一部が紺+赤の旧塗装を身にまとい、近距離の非電化区間に直通する通勤・通学列車から、10数時間かけて走る長距離急行列車まで幅広く用いられています。但し、観察していて興味深いのは、非冷房3等の客車列車には、たとえ急行列車だろうが何だろうが決して2等=ビズニスが連結されない点です。恐らく、3等車が激しく混雑した際に2等車に客がなだれ込むのを避けるためだと思われますが、何せ、ホームで乗れない客は続々と機関車のデッキ、さらには乗務員室に殺到するという光景が日々展開していますので、最初から列車によって徹底した差別化を図っておこうということなのでしょう……。RM誌増刊『国鉄時代』をパラパラ眺めていますと、1970年代末までの上野口客車普通列車は、EF57のデッキに客が鈴なりになるのを黙認しつつ快走していたようですが(乗りたかった……)、今回インドネシアの鈍行を眺めていたところ、当時の上野口以上に逼迫した雰囲気がありまくり……(汗。不謹慎かも知れませんが、それゆえに是非一度、DLの前部デッキに便乗して究極の展望車状態を味わってみたいものです……ヤバいかな? 爆)。



 というわけで、混雑している列車は相当カオスに近い雰囲気が漂うインドネシアの3等客車列車ですが、かつての日本でも夜行鈍行列車の客が「いつかはオレも急行列車の寝台車やグリーン車の客となって故郷に錦を飾りたい」と念じていたのと恐らく同じように、庶民の悲喜こもごもを乗せているのでしょう……。
 そこで、次回訪問時には是非3等車にも乗って、一介の旅人としてインドネシアのいろいろな面を見てみたいと思っているのですが、問題は……(2等車もそうですが)非冷房車の窓は下段が全て固定され、車内は半端でなく暑そうだ……ということです (@o@)。ジャカルタ・コタ駅で撮り鉄していた際、当分発車せず半ばホーム据え付けの休憩室同然となっていた3等編成の車内にも入ってみたのですが、ぬををっ……何じゃこの風通しの悪さは……(-_-;)。一応、走り出せばややマシになるのかも知れませんが……あの蒸し風呂ぶりを思い出すにつけ、イキナリ長距離急行に乗るのではなく、初級編として近郊列車を試してみるのが無難なのだろうなぁ……と思っています。とくに、再開業間もないタンジュン・プリオク発着の近郊客車列車(1枚目)を東線で撮っていたところ、見事にガラガラ……。これならイケそうだなぁ、と思っています。もっとも、それも単にタンジュン・プリオクとパサール・スネン(タナ・アバンと並ぶジャカルタ市内の3等客車列車主要発着駅)の間の話だけで、パサール・スネンとジャティヌガラで一気に客が乗って満員御礼となってしまいそうですが (^^;)。
 それにしても、ネット上では「アルゴ」「1・2等車組成の特急列車」「オール3等の長距離急行」の時刻表は簡単に閲覧出来るのですが、ジャカルタをはじめ各主要都市近郊を走る鈍行客車列車の詳細な時刻表が分からないのはツラい……。まぁ、駅に行けばきちんと掲示はされているのですが、今回東線で午前中2~3時間張り付いていたところ、ネットや駅で分かる時刻表よりも多くの3等列車が次から次へと姿を現し、これに頻繁運転の単機回送を加えますと、本当に目が回りそうなほどカマを撮ったなぁ……という印象です (笑)。駅で流れるアナウンスを聴いていますと、ブカシ以遠からやって来て東線に入り、ジャカルタ・コタには入らず西線へと向かい、さらにタナ・アバンからスルポン方面へ向かうという結構面白そうなルートで走る鈍行列車もあったり……(2枚目の画像)。嗚呼、ジャカルタ近郊の客車鈍行の全貌が知りたい……(^^;


ごくフツーのボックスシート車。但し椅子は背もたれも含めてコチコチ (^^;)。人の体型には合わせてあるようで、東武50050やメトロ08よりは遥かにマシな座り心地だと思いますが……(汗)。どの車両も洗車が行き届きキレイなのはインドネシアの良いところ。



一方こちらは、近郊列車にたまに (?) 連結されているロングシート車。基本的には、日本製の非冷房抵抗制御2扉電車と同じ発想で作ったものだと思われますが(製造も1976年)、この激しい腰高ぶりが醸し出すヘロさが個人的には魅力です(爆)。