地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

名鉄の新珍車・5600系を撮る@金山

2010-08-01 01:00:00 | 都市民鉄 (中京圏)


 名鉄パノラマカーが既に有終の美を飾り、7700系すら訪れるヒマもない中で引退してしまった今となっては、栄光の側面連続窓を伝える名鉄車両として、80年代にSR車の冷房化・レベルアップを推進する目的で製造された5700・5300系が最後の陣地を守るという状況となってしまいました。
 5700系・5300系の登場当初は、まだまだ全盛を誇っていた2扉SR車陣営の一員として、とくに名古屋本線の高速として堂々の走りを見せていたものですが、その後月日は流れて高速は特急と急行に分化・吸収され、優等列車の一般車では3扉車がメインとなり……。その結果、そもそも2扉SR車というジャンル自体が名鉄の営業施策にとって中途半端な存在になってしまい、パノラマカーも6両固定・他車との混結不可な7500系から廃車が進んで行ったのは記憶に新しいところでしょう。そしてパノラマカーなき今や、2本しかない5700系6連は運用の自由度が低い代表的車種となってしまい、ついに編成組み替えで4連化……。
 しかし、それだけでは終わらないのが不幸中の幸いでしょうか。余った中間車に、下回りの老朽化が既に著しいために廃車となった5300系の顔が取り付けられて、1編成限りの新たなる珍車・5600系が誕生! (*^^*) 通常の5300・5700系は運転室扉の直後に客室の窓がありますが、5600系先頭車は窓割りを変えずに先頭部を接合しただけですので窓がないのが目印です。



 何はともあれ、5600系は1編成が存在するのみですので、下手をすると名鉄をまる一日巡り歩いても入庫のため遭遇出来ない可能性がありますが、先月豊橋から名古屋まで移動しつつ駅撮りした際には、何と乗っていた急行一宮行が金山に到着した目の前に5600系の普通内海行が停車中!! こんなドンピシャな大当たりもあるものだ……と思いつつ、まずは暗い中ながら停車中のシーンを撮影し、いよいよ後追いながらも本番の発車シーンを撮ろうと構えていたところ……2枚目の画像の5300系にカブられましてしまいました (滝汗)。幸いにして、カブられ状態が去った後、超望遠側にズーミングして辛うじて1枚目を撮影した次第ですが、もっと手前で撮りたかったですなぁ……。リベンジ出来るのは一体何時のことになるでしょうか?
 いっぽう、こうしてカブって来た5300系は、これはこれで5000・5200系の機器流用車として今や極めて貴重な存在であることは言うまでもありません。日車製の兄弟として生まれた長電2000系・富山地鉄20系列、あるいはメーカーこそ違えども約半世紀前の機器を伝える東武6050系などと同様、如何にも昭和30年代気質な下回りは、まさに私鉄カルダン駆動電車の歴史の生き証人であると言っても良いでしょう……。しかし、とにかく機器が年代物であることは否めず、既に始まった廃車が今後加速して一気に消滅してしまう可能性を考えずにはいられません。
 というわけで、2枚目の回送列車の直後にやって来た急行佐屋行も5300系であったことを大いに喜び (^o^)、名古屋までごく短時間ながら重厚で安定した乗り心地を楽しみつつも、頭の中では「注目が高まって沿線が撮り鉄だらけになる前に如何に撮り貯めておくか……」ということばかり考えていたのでした (^^;)。いや、5300系なんて所詮マイナーな機器流用車・知る人ぞ知る存在ということで、人気とは無縁であれば良いのですが……。