登山電車とは言っても標高がそれほど高くない箱根登山の夏は、やはり冷房車がやって来るに越したことはないのかも知れませんが、猛烈に蒸し暑いのはドームに覆われて風通しがよろしいとは言えない箱根湯本駅くらいのもので、走り出すと森が放つフィトンチッドが窓から流れ込んで来ることもあってか、意外と涼味が感じられます……。とくにトンネルの中は天然の高性能クーラー! 非常に重装備な登山電車に冷房を搭載するのは難しく、だからこそ床置き型クーラーを設置した2000形の登場まで非冷房化率100%だったわけですが、そもそも今から20年以上前は、東京で最高気温が31~32度になれば大騒ぎになるほど平地でも涼しかった (?) ことも考えますと、走行中これだけ涼しければ「まぁなくても良い」という判断だったのかも知れません。
今でも非冷房な旧型車モハ1・モハ2形にうまく乗り合わせますと、そんな風流な時代を思い出させてくれますが、とくに車内壁面のリニューアルがなされておらず、昭和20年代の姿をそのまま保つモハ1形に乗りますと、子供の頃から全く変わらないワクワク感が心の底から湧いてくるのが不思議です (*^^*)。
とりわけモハ103+107の固定編成は、今や箱根登山最後の釣掛駆動車! この日は箱根湯本で赤い小田急1000形から箱根登山に乗り換える際、モハ1形のシルエットをドーム駅舎の中に確認し、思わず「やったぜ釣掛!」と内心小躍りしてしまったのですが (笑)、あらら……カルダン駆動化された104+106編成でした (汗)。もちろん、ヨンロク編成といえども車内は昭和20年代テイストそのままですし、屋根上の抵抗器から常に「ヒュイィィィ......ン」という音が鳴り響くのもいとをかし……というわけで、贅沢は言えません。しかし、やはり久しぶりにサンナナ編成に乗り、荘重な釣掛の重低音を満喫したいなぁと思ったのも事実。平日午後3時半過ぎの強羅行きは既に温泉に向かう客を運び終えているためか超ガラガラだっただけに、何とも勿体ない話です (^^;
こんなことを考えながら、スイッチバックに到着する「サンモリッツ号」を待っていたところ、何と!山の上からはサンナナ編成が登場!! しかもモハ2形を従えていないため、前パンを振りかざした2連での御到着!! (*^O^*) ちょうど椅子が全て埋まる程度に乗っていた観光客は全員、クーラーのないロングシートに座らされてウンザリした表情でしたが、「をいをい、箱根登山釣掛特別装備の電気ブレーキ音を楽しめるというのに、もっと楽しんでみては如何?」と思うのは所詮ヲタの戯れ言でしょうか(笑)。
というわけで、強烈なド順光の斜光線を浴びて箱根湯本へと下りて行くサンナナ編成を思い切り激写……!!このあとの温泉とビールが最高だったのは言うまでもありません (笑)。しかし悲しいことに、この直後にサンナナ編成はモハ2形2連と車両交換してしまったため、夜の谷間に釣掛の雄叫びが響き渡るシーンを久々に楽しむことは出来なかったのでした (苦笑)。まぁまた来れば良いか……。