富山地鉄・稲荷町緊急イベント第2弾が先週末に開催されたとのことですが、第3弾はとりあえず開催されないようですので、去る13日に開催された稲荷町緊急イベント第1弾における見聞を備忘録的に記しておきましょう~。
当日は朝9時半から受付開始とのことですので、滝のような雨が止んだのを見計らって駅から工場内へ向かい、首都圏におけるイベントとは比較にならないほど超~~のんびり・まったりとした雰囲気の中で参加費を払い、参加証 (一日全線乗車券を兼ねる) とプログラムを受け取り受付完了~! 京阪8831が置かれた検修庫内は安全なスペースが限られているため、一定の時間ごとに30名までの定員制となっており (台帳にカタカナで氏名を記入)、余裕で10時からの初回に登録♪ 「これが驚異の改造能力を誇る稲荷町工場の内部か……」ということで、内部の様子や入庫車両を撮影しておりますと、あっという間に10時となり、いよいよヘルメットをかぶり8831と御対面!! 申し込みの時点では、「ひょっとすると屋外に展示され、形式写真撮り放題かもなぁ……」とワクワクしていたのですが、実際に稲荷町工場の中に入って見ますと、実は頻繁な出入庫車両のために大部分の線路が利用されている中では、もっぱら車両展示のために提供できる線路というのは本線上りホーム脇の側線しかなく、しかもそこには14722F・排雪モーターカー・デキ12021が並べられていますので、どうしても8831は屋根の下での展示とならざるを得ないようです。しかも、約1ヶ月後のデビューまでの間に、新台車 (TR69とのこと) に適合した台枠改造、ならびに (恐らく客の少ない時間における犯罪対策としての) 監視カメラ設置改造を済ませ、10033Fに組み込んで全線試運転を済ませなければなりませんので、一刻の余裕も無い!と言わんばかりに休日返上で改造工事が進行中でした。
何はともあれ、こんなところに1形式1両の二階建てが運び込まれたとはスゲーな……と思いつつ、10時20分から開催された車両担当のエラい方による秘話講演会に向かったところ、これが実に面白い! 録画は不可とのことでしたので (とゆーか、ビデオを撮る趣味はゼロですが ^^;)、もっぱら記憶に従い、以下その要旨を……。
* 半鋼製釣掛式電車で車齢40年を経過し、冷房改造を諦めた10形の代替として、当初は京阪3000ではなく阪急2800に白羽の矢。両端ドア位置大幅変更工事を含め2扉車に改造し (改造構想図面が参加者に配布)、新幹線0系から椅子を持ってくる予定であった。しかしそんな矢先、京阪で3000系が大量廃車となり、しかも2扉転クロであることから、急転直下おけいはんに決定!
* トレーラーによる輸送に遅れが発生したものの、手取川 (石川県) の堤防上でズラリと一列に並んでいる京阪3000を眺めた瞬間感激した! (その写真が参加者に配布される)
* 台車は当初、営団鯨のFS-336を装備したものの、試運転段階から「京阪ボディとの相性が悪く相当揺れるなぁ……」と認識。のみならず、そのまま営業運転に入れたところ、車掌が電車酔いになるという珍事態も。そこで後に全車、同じ鯨のFS-510に交換。その後さらに、現時点では2編成を除いて485系の廃車発生品であるDT32に交換済。この際、モーター出力も上がったことから形式変更すべきであるところ、そのまま上3ケタは100を名乗る。
* 二階建て8831の譲渡は、当初富山地鉄では全く想像もしていなかった。しかし、京阪8030の引退に関連した京阪・富山地鉄・大井川三社合同キャンペーンに関連し、京阪社有の保養施設にて宴会が開催され、美酒と京料理にすっかりメロメロになった席上、京阪側から「どうです富山さん、大井川さん、ウチの8831要りません?」との話が。過酷極まりない大改造の末に誕生した8831であるだけに、京阪としても愛着あり。そこで富山地鉄の担当者氏は、京阪側の発言に「酔った席上の話だから」と半信半疑で本社に報告したところ、「即ゲット!」という展開に!
* 譲渡にあたっての最大の紆余曲折は……デザイン面。去る5月に逝去された前社長はミトーカに心酔。そこで、8831もミトーカに……という話が出かかったものの、京阪との交渉担当者氏が「それだけは止めましょう!これほどの車両である以上、ミトーカではなくこのままのデザインで動態保存されることに大きな意味があるのです!」と前社長に直談判され (このくだりになると講演会場内は割れんばかりの大拍手!!)、その結果富山でも京阪時代の姿で走ることに!
* では、側面の京都時代祭絵巻はどうするのか? この絵は高名な考証画家によるもので、そもそも原画集も1冊ン十万円するシロモノ。京阪が払ってきた著作権料or意匠料は、地方私鉄が中古車導入に要する費用としては破天荒な金額になりすぎてしまう。そこで、直接ご本人と交渉の結果、何とか富山地鉄として負担できる金額で妥結し目出度し目出度し……! (また大拍手!)
とまあこんな感じで、とにかく富山地鉄と京阪の関係者による熱い想いが凝縮された8831。正式な車番は国交省への申請が通ってからの命名となるとのことですが (まぁ無難にサハ131となるのでしょうか?)、まずはファンとしても「リアル京阪特急ショーティー」な3連が麗しの越中路を快走する約1ヶ月後を楽しみにしたいと思います♪