今回のジャカルタ遠征レポートは、超お気に入りの車両を激写したぜ!という内容よりも、最近の新事物を優先的に掲載している次第ですが、それはまぁ要するに、超お気に入りの日本中古車両は一時のカラーリング百花繚乱が終了して外装も運用も安定期に入っている(→余り特筆するべき変化がない)のに対して、ジャカルタ近郊の鉄道システムやインドネシア・オリジナルの車両に余りにも大きな変化が立て続いているために、その新鮮な衝撃をなるべく記憶が薄れないうちに文字化しておきたいということでございます (汗)。
そんな新事物の中でも、忘れるわけには行かないのがこの車両……インドネシア国産・INKA社製の新型電車・KFWでしょう! この車両は、KRL-1以来久しぶりに製造されたインドネシア国産の冷房電車であり、何故か前照灯がいっぱい!という不思議なマスクは、まぁ有り体に行って日本人のデザインセンスとはほど遠い世界の存在ですが、個人的には何となく手塚マンガの「ひょうたんつぎ」に似ている風貌はキライではありません (似てねーか ^_^;; →いつもお世話になっておりますパクアン急行様は「八つ目うなぎ」と命名されています)。そして……かなり幅広の下ぶくれビードプレス3扉車体は、東急初代5000系と8090系、そして相鉄新6000系あたりを掛け合わせたような雰囲気にも感じられ、これもキライではありません (笑)。そう……明らかにインドネシア人のデザインセンスではあるのですが、過去の様々な日本の電車を何となく想像出来るということから、自ずと親しみが湧いてくるという存在なのです。
但し、このKFWは基本的にドイツ政府のヒモ付き援助で製造され、シーメンスの技術を多数採用しているとのことで、果たして冷涼な国の技術が高温多湿なインドネシアでどこまで花開くのかは疑問の余地が大きいのも事実。実際、過去大量に投入されたボンバルディア技術のHolecも、結局数年から10年少々で全車離脱し、一部は電気式DCに改造され、一部はパクアン急行様のブログで詳しく既報の通り、下回りをウリナラ宇進産電製に総取り替えのうえ「Holec AC」としてデビューを待っているという状況です (まぁ同じ高温多湿な国でも、安かろう悪かろうなウリナラ製が長持ちするとは到底思えんのですが)。
というわけで案の定と申しますか……このKFWも一昨年、私が8月の訪問から帰国して間もなく、INKA社があるマディウンからジャカルタに甲種輸送され、賑々しい記念式典のうえ試運転が始まったまでは良かったものの、結局絶不調が続いて長期間マンガライやタンジュンプリオクに放置され、昨年の訪問時はタンジュンプリオクに行かなかったため結局撮れず (-_-;)。この春以降、ようやく本格的な運用が開始され、8月の訪問時には取り敢えず急勾配とは無縁なタンゲラン線及びジャカルタ~カンプン・バンダン間の1駅フィーダ運用を中心に活躍していました。
まぁ要は、猛烈な混雑とデポック以南の急勾配ゆえに、電車にとって極めて過酷な路線条件であるボゴール線の運用には絶対に入れないということで、現場スタッフからはKFWが余り信用されておらず、下手をすると何時致命的な故障を抱えて全車離脱してしまうか分かったものではないようです。もっとも最近は、無事ボゴール線での運用も始まり、ご同慶の至りですが (つーか撮りたい)、パクアン急行様のレポートによりますと、出火事故のためにマディウンの工場に送り返され修理を受けている編成もあるようで、やはりヒヤヒヤであることは否めません。そこで今回の訪問にあたっては、一応タンゲラン線で確実にKFWがやって来る内に是非KFWを試乗し、「散々な評価であるらしいものの実際にはどんな電車なのか」ということを体感してみようと思った次第です。
そのようなプランニングを立てていたところ、現在スラバヤにて勤務されている「落花生。」様から「レバラン明け休暇でジャカルタに日帰りで遊びに行くので是非ミニオフ会を」という有り難いお誘いを受けまして、初めて乗るKFWは落花生。様とのトーク炸裂会場となったのでした (笑)。現地での活動2日目の朝、マンガライでの朝練を終えて203系のジャティヌガラ行きに乗ってドゥリに到着し「やはり下町住民の多くが出身地に帰っているのと、流通全体がレバランで一時ストップしているためか (レバラン当日と翌日はコンビニの主力商品が払底気味で焦りました)、復活した線路市場も不発気味よのぅ……」と思いつつしばし撮影し、午前9時の約束の時間に無事落花生。様と合流~。以前ジャカルタでのご勤務でチキニ駅前高級マンションのトレインビューの間にお住まいだった際、チキニ駅のホームで激写しまくっている大男の姿と、拙ブログがその際一時的にジャカルタからの更新となっていたことを重ね合わせ「この大男が……?」と目星をつけておられたため、ドゥリ駅では迷わず遠くから私であると判別出来たとのことです (笑)。そんな裏話に一本取られつつ、しばし酷暑の中激写を重ねまして (とくにバンテン線客レが祭りでした♪→後日アップします)、10時20分発のタンゲラン行KFWで一往復しつつ涼んだのでありました。
KFW……一歩車内に踏み込んでみますと、ををっ!涼しい……(*^^*)。車内デザインも、KRL-1と基本的に近似でありながら、椅子がプラではなくモケットとなり、明るく広々とした車内に好感が持てます。そしていざ発車……スーッと静かに加速し、フツーに時速90~100kmほどで軽快に飛ばして行きます。というわけで、「乗務員や保守スタッフ泣かせであるのかどうかはさておき、乗客目線から見ると、きちんと走る分にはとても良い電車だ」というのが基本的な印象です。しかも、裏事情通の落花生。様やパクアン急行様から伺ったところによりますと、ドイツ政府援助のヒモ付き比率は約半額程度につき、残りの額のかなりの部分は実は日本メーカーの懐に入っているとかいないとか。というわけで、KFWは何気に日・欧・印尼合作のパッチワークのような電車であるということが分かり、なおさら一日本人ヲタとして親しみを感じた次第ですが、パッチワークなだけに故障したらヤヤコシイだろうな……と思ったのも確かです (滝汗)。
そんなこんなで、KFWの快適な乗り心地と空調ですっかり気分サイコーとなった落花生。様と私は、商売上の関心事が近いこともあって濃厚トーク炸裂! タンゲラン駅にて、短い折り返し時間のあいだに一旦改札を出てCOMMET Cardをタッチし直さなければならず、工事中につき狭い改札に殺到する凄まじい下車客に揉まれて「間に合うのか……」とヒヤヒヤものでしたが、このタンゲラン駅のひとこまを除けばとても楽しいKFWの一往復となったのでした♪ 落花生。様とはこの後もしばらくお付き合い頂き、午後はスルポン線内での撮り鉄を終えられたパクアン急行様ともタナ・アバン駅で合流、都心の高級ショッピングモール内にある日本料理店での会食 (withビール☆) を楽しみました♪ どうも楽しいひとときをありがとうございました!! m(^^)m