地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

第五ジャカルタ炎鉄録 (15) バンテン線客車鈍行

2013-11-29 00:00:00 | インドネシアの鉄道


 今回のジャカルタ訪問において体感した新事物のうち、もう一つ忘れるわけには行かないのが、スルポン=バンテン線の電車列車運転区間延長です! ジャカルタから遠く離れたバンテン州の田舎町・マジャまでの電化工事は、確か数年前に完成していたと聞きますが、逼迫する電力事情、そして他の路線における本数増に追われる中、なかなかパルンパンジャンから先の新規電化区間まで回す電力がなかったようで、結局宝の持ち腐れ状態が昨年・一昨年の訪問時に展開しておりました。しかしここに来て、発電所や変電設備の整備が進んだためか、この4月から1日あたり5往復の電車列車がマジャまでの運行を始め、起伏が多く緑豊かな麗しのバンテン線沿線風景と日本中古電車(主に東京メトロ05系)とのコラボが始まりました!
 というわけで、正直申しましてメトロ05系への関心は薄い私ではございますが (^^;)、バンテン線の田園風景との組み合わせは是非一刻も早く体験してみたいと思いまして、活動4日目の日中から夕方にかけてはマジャまで往復することにしました。しかし同時に、パクアン急行様がマジャ電化開業の直後にレポートされた通り、マジャの一つ手前の「秘境駅」……と申しますか、ロクにホームもなく掘っ立て小屋のような切符販売窓口があるだけの超ヘロヘロ駅であるチコヤ駅にも立ち寄り、ジャボデタベック・エリアで最もヘロい駅と05系 (またはメトロ7000系あたり) との組み合わせを激写してそのまま電車に乗るという、最高にハードなマニアックさとしか言い様のない体験もやっておこうと思いまして、往路はチコヤに先回りするべく客車鈍行に乗った次第です。



 現在、スルポン=バンテン線の客車鈍行は、冷房改造車と非冷房車が入り乱れているようですが、私が今回当たったのは背もたれが浅いプラ製の2+2ボックスシート非冷房車。とはいえ、窓が開きますと適度に乾いた空気が外から入ってきますので、窓が密閉化済みでありながら冷房の出力がダメダメで結果的に死ぬほど蒸し暑いプルワカルタ鈍行と比べれば天国のようです♪ それに加えて、タナ・アバン通過措置に伴い、客車鈍行は運賃激安であるにもかかわらず (何せ、ジャカルタ中心部からランカスビトゥンの手前・チテラス駅まで延々と乗っても1,500ルピア……) 思いのほか空いており、他の客もどことなく寛ぎまくりな雰囲気……。こんな客車鈍行でしたらいくらでも乗れまっせ♪
 そして……電車のエコノミー列車が全廃された現在、このバンテン線客車鈍行はプルワカルタ鈍行と並んで、ジャカルタ近郊で物売りや流しバンドの車内活動を楽しめる最後の舞台となりました。というわけで、混み合うエコノミー電車列車内では「うざっ……」としばしば思った物売り攻勢も、今や「懐かしいのぅ……久しぶりだのぅ……」という気分で眺めるのみです (^^;)。そして、上手い流しバンドが来れば思わず500ルピア硬貨を袋に入れ、モスク建設のための募金を呼びかけるマドラサ (イスラーム宗教学校) の学生が来れば、私自身全くムスリムでないにもかかわらず「アザーン (定時のコーラン朗唱→大音量放送)で涼味を感じる御礼」というつもりで1,000ルピアを寄付し (ケチ!)……。気が付いてみたら、車内での物売りや寄付募集が一切禁じられている冷房電車に乗る際に払う運賃と、エコノミー客車列車に乗る際に払う運賃と諸々の寄付等の出費の総和がほとんど変わらないのではないか?という事実に気づいたのでした (笑)。
 とまぁこんな感じで、古き良き非冷房客車鈍行の旅を満喫し、途中パルンパンジャンからは機関車の次位に連結された荷物車に移動して、アメ罐らしくやかましいディーゼル発電機音に混ざる釣掛サウンドを楽しんだのち、目指すチコヤ駅に到着! (2枚目の画像) 列車が去ってしまうと申し訳程度の駅前商店街 (?) を除けば本当に緑の水田と熱帯雨林しかない静寂と、それとは裏腹に叩きつけるような暑さの中、じっと電車列車の到着を待ち構えたのでした。しかし間もなく悲劇が……(笑。つづく)。


 チコヤ駅1。ジャカルタ側を向く。ホーム無ぇぇ~(滝汗)。



 チコヤ駅2。メラク側を向く。駅舎の垂れ幕を先に見ておくべきでした……。



 これがチコヤ駅前通り (滝汗)。間違いなくKCJエリア内で最も長閑です……。



 マジャ駅前通り。電車を降りた客がゾロゾロと。しかしバイクが多いな……。



 駅の外れで撮影中、若いママさんがおどけながらポーズをとりまくり (笑)。