韓国大統領の訪日ということで、そういえば昨年秋のソウル訪問シリーズもまだまだあるのを思い出しました (^^;)。まったりと連載再開です~。
さて、韓国における怒濤のようなソウルへの一極集中と、それに伴うソウル地下鉄・首都圏電鉄の延伸ラッシュは、如何にもロテム (現代精工と大宇重工が合併した鉄道車両会社) っぽく味気ないデザインの車両を氾濫させることにつながっています。そのため、最近の地下鉄1号線~国鉄線では、古き良き (?) 抵抗制御車がなかなかつかまらない状況となっていることにつきましては、既にこれまでの記事を通じてお分かり頂けたものと思います。
これに対して、1984年に全通し、全線直流電化で独立している地下鉄2号線(中心街の乙支路[ウルチロ]を拠点として、ソウル市街の重要なスポットを結んでグルリと環状運転しているため、「乙支路循環線」とも呼ばれています) は、日本から導入した技術やデザインの影響がまだまだ非常に強かった1980年代前半に集中的に車両を用意した路線です。それだけに、正面に黄色い字で掲げられた「ソウルメトロ」表示、および行先表示のハングルを除けば、ほとんどそのまま日本の通勤電車と言っても良いセンスの2000系電車が、それこそ洪水のように走っておりまして……いや~素晴らしいのひとこと (*^^*)。もちろん、車体の規格が異なり、20m車といっても相当幅広ですので、乗って一瞬「あれ?」と思うのですが (笑)、とくに開業初期からの生き残りである二段窓車に乗ってみれば、ホントに103系か相鉄旧6000系に乗っているかのような……ボロいけれどもシブい味わいに満ちておりました (^O^)。加えて2号線の駅の構造も、やはり1970年代から80年代に造られた日本の都市圏の駅そのものという風情ですし……。というわけで、昨年秋のソウル出張は、2号線沿線の宿に泊まり、用務先も2号線沿線だったことから、そんな1980年代テイストが炸裂する2号線ライフを満喫しまくったのでした (笑)。
しかし、昨年9月に地下鉄2号線を味わうことが出来たのは、とてつもなく幸運なことだったようです。何故なら、1983~84年頃に全通に備えて製造された世代の2段窓・界磁チョッパ車は、韓国の「製造後25年を経た鉄道車両は廃車すべし」という規則に従って、その後次々に廃車の憂き目に遭っているからです……。たしかにこの世代の車両は、他の車両が大邱地下鉄火災をうけて難燃化工事を受けたのとは異なり、上記のような70~80年代テイストの車内で残っておりましたので、先が長くないのは余りにも明らかでした。また、初めてソウルを訪れた4年前には走っていた田の字窓の抵抗制御車 (2号線の最初期タイプ) も既に全滅していましたので、やはり80年代前半製2段窓車も後を追うのは必然的な展開でもあります。それでもやはり、まだまだ使えそうな車両だけに、残念のひとこと……。
もっとも2段窓車の中には、難燃化改造を受けた80年代後半製の車両があり、さらに窓の上段だけが内側に開くタイプの90年代製車両もあります。というわけで、今後の2号線が次第にロテム顔の世界となってゆくのは否めないものの、もうしばらくの間はクリーム色に緑帯のシブい車両群を楽しむことが出来そうです。そして、先頭車を廃車で失った編成の中間車を寄せ集め、一部を先頭車化したうえで新たな編成をつくるといった動きも活発化するものと予想しています。
ちなみに、2号線は高架区間も多いため、結構撮り鉄スポットに事欠かないのですが、最近は都心部の乗降客が多い駅を皮切りにホームドア設置が始まっていますので、今後の撮影は時間との戦いになりそうです……。1枚目の画像は聖水[ソンス]駅、2枚目の画像は堂山[タンサン]駅での撮影で、他には九老デジタル団地などもお気に入りのスポットですが、これらの駅にはホームドアが設置されないことを祈ります (^^;
……な~んてことを考えていたら、ここに来て先月末には大ニュースが! KBS (韓国放送) のHPニュースが伝えるところによりますと、ベトナム国鉄の標準軌路線・ハロン線 (首都ハノイから景勝地ハロン湾まで約160km) の電化&近代化に合わせて、余剰となった2号線の2段窓車60両を輸出し、この夏から運行を開始するとのこと! 当初はホーチミン市営地下鉄に輸出か?という話もあったようですが、ホーチミン市はどうやら日本とタイアップするようで、結局のところ、中越国境に近く標準軌路線が複数あるハノイ近郊が韓国中古電車の第二の舞台となるようです (他にも複数の近郊路線を整備するとか)。既に東南アジアの鉄道車両市場において、日本メーカーと韓国ロテムは競合関係にあるわけですが、中古車両についてもジャカルタは日本の天下、ハノイは韓国の天下となりそうで、いよいよ風雲急を告げる展開となってきたという気がします (笑)。もちろん、露骨なロテムデザインではなく、日本風デザインそのものな2号線車両が走る分には、個人的には万々歳ですね~(^O^)。