地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

台湾鉄路温故知新 (5) 復興号最後の楽園

2008-04-20 11:07:55 | 台湾の鉄道


 しばらくご無沙汰してしまった台湾シリーズですが、昨日は台北近郊のローカル線・平渓線にて、日本人観光客を台鉄の旅へと誘うプロモーション活動としてSL (CK124=C12に相当) が運行され、大成功のうちに終わったようです (今後も5・6月に各1回運行)。しかも客車として使用されたのは、東急車輌製の花東線バス窓ナローDCを1067mmゲージ用に改造したDR2050形! 花東線のローカル運用をDR2700に譲ってからは長らく保留・保存車とされていましたが、今回は大抜擢! 台湾で今後も古き良きものが愛されることを祝いつつ、連載再開です (^^
 さて、前回は南台湾の亜熱帯な風景の中をのんびり走る屏東線鈍行=「普快車」の話題を扱いましたが、アップした画像に写っている客車の半分は既に、窓が非常に大きな「復興号」用客車・SP20000形になっており、小窓が魅力的な旧型客車SP2300形は、当初の予定通り3月中に屏東線の運用を離脱してしまったようです (そのことを否定する情報は今のところ見当たりませんので……)。
 この結果、屏東線の非電化区間 (屏東以東) を走る各駅停車の列車は、すでに「復興号&冷房通勤電車運賃」が適用されている「区間車」ともども、全て復興号客車SP20000形の世界に統一されたことになります。そして、「区間車」と「普快車」が同じ車両を使用し、所要時間もほとんど変わらないにもかかわらず、列車名の違いだけで運賃が異なるのは不自然なことから、来る5月のダイヤ改正を機に、屏東線からは「普快車」が消え、「区間車」に統一されるのでしょう……。



 しかしこれによって、屏東線は今後しばらく復興号客車最後の楽園となることがはっきりしたわけで、ある種の感慨とうれしさを感じるのも確かです。
 そもそも復興号は、台湾が新興工業国として広く注目を集めた1980年代を象徴する車種であると言えましょう。既に台鉄は70年代、豪華客車特急としてキョ光号の運行を開始し、70年代後半には動力分散式特急・自強号の運行も始めていましたが、急速に生活水準が上がって豊かになる中でこれらの豪華特急は予約が難しくなり、1970年頃までに日本で製造されたスハ44風転クロ客車による非冷房の座席指定客車急行 (対号快車) は、それまでの人気列車から一転、「冷房つけろ」「もっとデラックスにしろ」という不満の対象となって行きました。そこで台鉄は1980年、キョ光号と同じ冷房客車ながらシートピッチをやや狭め、ビニール製シートへとレベルを落とした車両を用意し、キョ光号に連結しながらも安めな運賃で乗れるようにしたのでした。そして翌1981年、台鉄はこの客車を用いた列車を正式に「復興号」として独立させました。
 以来20数年、ラムネ色の復興号は主に西部幹線を中心に運用され、最盛期には台北~高雄間を約1時間間隔で行き交い、停車駅が多く便利なことと豪華なことが相まって、大いに人気を博したのでした (そこでスハ44風客車を冷房改造して復興号に編入したところ、「ボロい!」と大ブーイングが起こったことは前に記しました通りです)。しかし90年代末以後は、豪華高速バスの熾烈な競争の影で客足が復興号から離れ、さらには台湾新幹線も開通……。そこで台鉄自身が「汽車型」輸送体系から通勤電車主体の都市近郊輸送へとシフトする中で、ドアが1両1カ所しかなく、運賃収入面でもメリットが少ない復興号は、EMU700の「区間快車」に役目を譲って西部幹線から遅かれ早かれ消えて行くことになりました (T_T)。
 もちろん、屏東線に最後の楽園を見出した復興号の今後も、決して楽観できないことは否めません。そもそも、復興号客車が屏東線の通勤通学ラッシュ向きではないことは明らかですし (藍色普通車時代と比べて乗降にえらい時間が……)、高雄都市圏の拡大に伴い、台鉄としては電化区間を屏東から潮州 (今回の2枚の画像は潮州駅で撮影) まで延伸する予定とか。そのあかつきには潮州~枋寮間の区間列車も通勤DCの類に置き換えられてしまうのではないかと予想しています。
 しかしそれまでの数年間は、出来るだけ機会を見つけて何度でも屏東線を訪れ、亜熱帯の超豪華鈍行の旅を楽しんでみたいものだと思っています。JRの特急ハザなんて足下にも及ばないほどゆったりとしたシートピッチのフカフカリクライニングシートにもたれながら、窓の外を流れる椰子の木の森を眺めるひとときは、これぞ悦楽!のひとことに尽きます (*^^*)。

伊賀甲賀忍び鉄 (3) 関西線のキハ120

2008-04-19 07:31:00 | JR発足後の車両


 冬の北東北シリーズは終了しましたが、半年前の関西シリーズはまだまだ続きます (汗)。今回は当ブログにしては珍しく、JR化後の車両の出演です。
 草津線の113系8連による一番列車で柘植駅に到着しますと、季節は既に晩秋。しかも、峠の手前の山深いジャンクションということで、恐ろしく底冷えしておりました (@_@)。そこで乗り換えたのが、関西線・亀山~加茂間のキハ120です。
 思い出してもみれば、関西線・山越え区間を1990年代前半に初めて乗り通した際には、たしか全ての列車がキハ28・58で運行されておりました。一度桜の季節に乗ったときなど、笠置や月ヶ瀬口などをはじめ、あちこちで展開していた錦絵のような風景に感激し、難所・加太越えでは激しく唸り続けるDMH17サウンドに狂喜したものです。しかも空いた車内では、当然のように1ボックス占拠しまくりでしたから……(^^)。今そんな列車が走っていれば、18きっぷシーズンは大変なことになっているでしょうが (笑)、この頃は他に18きっぱーを見かけることもなく、本当に良い時代でした……。唯一激しく後悔しているのは、非鉄期だったためキハ28・58の写真を1枚も撮っていないことです (-_-;;)。



 関西線といえば、そんなキハ28・58の旅の印象が余りにも強かったため、キハ120化されて間もない頃に「また関西線・山越え区間の車窓風景を楽しみたい」と思って乗ったところ、たまたま2両オールロングシートという不運に遭遇してしまったこともあり、激しく落胆したものです……。それ以来、個人的な18きっぷの旅で関西線経由を選択することは全くなくなりました (それ以上に、関西へ遊びに行く際には急行「銀河」や近鉄アーバンライナーを選択するようになり、さらに出張時には新幹線の便利さに抗えないようになってしまったからでもありますが ^^;)。
 しかし時は流れ……東日本で「走るんです」が急増し、地方のローカル私鉄も軽快気動車の世界となっていった今、いつの間にか私自身もこの手の素っ気ない車両に飼い慣らされてしまったようで (苦笑)、たまにこうしてキハ120に乗る機会があると、「次はいつこの路線を利用するか分からないから」とか言いながら、思わずカメラを向けてしまうようになってしまいました (^^;)。しかもこの時は幸いにして、乗った編成にセミクロス車が組み込まれており、早朝ということもあって1ボックスを独占し山深い沿線風景を楽しむことが出来ましたので、まぁ良し……という感じです (要するに、ボックスシートを確保しさえすればオーケー ^^;;;)。

70万アクセス御礼・22年前の江ノ電

2008-04-18 22:19:30 | 懐かし画像


 いつも当ブログをお楽しみ頂きまして誠にありがとうございます m(_ _)m 当ブログはこのたび、70万アクセスの大台に達しました。60万アクセスからは2ヶ月と10日ほど……ということで、改めて「こんなに地味な話題尽くしの、JR超人気臨時列車なんてまず出てこないブログに何故?」と思うのですが、まあ世の中それだけ人の好みもいろいろということなのでしょう (笑)。最近は忙しくてなかなか撮り鉄遠征も出来ず、前に撮り貯めたカットを小出しにすることが多いのは心苦しい限りではございますが、今後ともお気に召すまま、よろしくお付き合い下さいませ。
 というわけで選んでみた70万アクセス記念アップ画像は、いまを遡ること22年前の江ノ電の表情です。江ノ電といえば、先日模型の世界ではMODEMOから304Fと305Fの冷房バージョンが発売されましたが (^o^)、現実の世界では最近502Fが東急車輌で新造され、早速営業運転を開始しました。そこで、最後の300形・305Fの命運もあと僅かなのでは……と強く懸念せずにはいられません (-_-)。



 しかし今から22年前、1986年の時点では、300形は全6編成が揃ってバリバリの大活躍を続けており、しかも冷房改造・カルダン駆動化・室内化粧板の貼り替えetc..といった改造も受けておらず、潮風薫る街に日夜釣掛サウンドを響かせながら、ガタピシと走っておりました……(*^^*)。しかもこれらのカットを撮影したのは、1500形が営業運転を開始する直前でして、走っている電車が釣掛率100%だったのも懐かしいですね……。ただ、江ノ電といえば旧型車だったのが当たり前すぎて、当時は珍しくも何ともなかったこと、それに加えて301Fや306Fが消えていった1990年代は非鉄だったことから、結局これらの編成を記録したのはこれっきりでした (滝汗)。今思い出しますと、何と勿体なかったことか……の一言に尽きます。そして、同じ轍を踏まないためにも、今走っている旧型車は出来るだけ逃さずに記録しておきたいと思うのですが、今度は逆にヒマがないのが悲しいところですね。この趣味をしていると、こんなぼやきばかりですが……。
 ちなみにこのときは、高校合格をきっかけに自分のなけなしの貯金をはたき、足りないもう半額は親からの合格祝いを仰ぎまして、初めての一眼レフとしてキヤノンA-1を導入、その試し撮りを兼ねております。ああ懐かしい……。また予算不足のため、レンズは当初NewFD 50mm F1.4だけという何ともストイックな状態で、撮影時には画面構成上非常にツラい思いをしたものです。約1年後、ようやく2本目としてNewFD 135mm F3.5を中古で買ったときは嬉しかったですね~。それでもストイックなことには変わりないのですが、今となっては若かった頃の遠い思い出です (→今やすっかりズームレンズに頼りまくり ^^;)。

京阪塗装変更発表!・緑の伝統は続く

2008-04-17 23:59:58 | 都市民鉄 (近畿以西)


 先日京阪から、中之島新線開業・新3000系登場 (従来までの3000系は改番のうえ8000系に編入!) に関連し、従来の全車両を塗装変更する旨のプレスリリースがありました (詳しくは京阪公式HPをどうぞ)。塗装変更の話題が最初に持ち上がったのはたしか去年、それを知った瞬間「ええっ……伝統のグリーンを止めてしまうのか……。ただでさえ緑系塗装の鉄道車両は日本では減る傾向にあるので、緑系塗装好きにとっては残念無念……(-_-;;)」と思ったものです。ところがどっこい、いざフタを開けてみると、ををっ、一般車の緑ベース塗装は保たれたではないですか! しかもなかなかセンスが宜しい! (^^) まあ、少々阪神の新塗装っぽくもあり、阪神との合併や直通運転に未練があるのだろうか……と勘繰ってしまわないでもないのですが (^^;)、ひとまずは「さすが関西私鉄!」という感じです。
 というわけで、最近いつ京阪を撮ったのだっけ……と思い出してみたところ、何と1年半前、琴電電車祭りに行く前日のことでした。ご無沙汰し過ぎ……(滝汗)。このときはJRW103系、そして鶴橋界隈での近鉄電車撮影を楽しんだ後 (その近鉄の画像もアップしそびれ中 ^^;)、京橋から京阪に少々乗って、名物の複々線を激走する車両たちの撮影に興じたのでした。



 1枚目は、野江で撮影した2600系の区間急行萱島行き。ダイヤ改正で出現したこの短距離区間急行は、もはや風前の灯火となった1900系が入りやすい運用ということで、かなり期待していたのですが……結局1900系はまったく姿を現しませんでした (-_-;)。それでもまあ、1900系に負けず劣らず抹茶の味わいのようなシブいオーラを放っている2600系が頻繁に姿を現し、猛スピードで激走していますので、楽しめたことは申すまでもございません!
 野江でひとしきり撮影したあとは森小路までちょいと前進。上り列車を撮るには、野江よりも森小路の方がやりやすいですね (^^)。そして……やって来ました!ドアがいっぱい5000系!! 京阪の中では際だってゴツさが目立つ車両ではありますが……やはり私は、幼い頃図鑑で眺めた京阪電車といえば3000系と5000系という世代ですので (笑)、編成数はもともと必ずしもそれほど多くないとは言え、こうして主力として突っ走ってくるのをファインダー越しに眺めていますと心が癒される思いがします (*^^*)。
 ともあれ、ニュースリリースをきっかけに以前の写真を漁ってみたところ……やっぱりおけいはんはシブいですな~。これから先、去りゆく旧塗装を惜しみ、洗練された新塗装を楽しむ……という、過渡期の楽しみを味わうために関西に通いたいものですが、そういうときに限って忙しいうえに、関西出張の機会がないのがイマイチ悲しいところです (^^;;

東急田園都市線・満開桜と激走急行

2008-04-16 12:07:40 | 大手民鉄 (東急)


 田園都市線と桜の組み合わせ、前回は消え行く編成の逆光シーンをご覧頂きましたが、今回は当面残りそうな編成の順光シーンです (^^;
 ニコタマから中央林間まで、かなりの起伏に富んだ地形を貫いて走る田園都市線は、それなりに撮影スポットに事欠かない路線ですが、こと桜との組み合わせともなると、昔気質な鉄道にありがちな構内周辺の植樹などがそれほどあるわけでもありませんので、場所選びはかなり苦労します。一番お手頃な某駅は、この時期になりますと必ず先客がおり、個人的にベストな角度を確保できるわけでもなく……。それでも、世間的には圧倒的に不人気な (?) 後追い撮影でしたら、もう少々「桜鉄」の選択肢が増えるという感じでしょうか。というわけで、恩田の長津田工場にて8001Fに別れを告げた日、その前に某カーブの駅 (^^;) にて満開の見事な桜を眺めつつ、「出勤ついで花見鉄」を楽しんでしまいました (笑)。



 普通電車を降り、さっそくホームの外れの屋根のない辺りで「どう撮ろうかなぁ~」とあれこれフレーミングしていたところ、最初に中央林間からやってきたのは8695F! 最近は8590系にもフルカラーLED化の波が押し寄せつつあり、8695Fがこのような凛々しい表示を出しながら桜の横を駆け抜けて行くのも、恐らく今年が最後でしょう……。そう思うにつけ、8695Fと桜の組み合わせも上手く記録できて良かったなぁ……という感じです。とくにこの日はダイヤ乱れの影響で、本来ならば6ドア車組み込みの5000系が担当しているはずの33Kに入ってくれたことが幸いしました (^O^)。自分がダイヤ乱れに巻き込まれるのは避けたいものですが、ダイヤ乱れから立ち直る過程の運用変更にともなうレアな光景を見たいと思うのは、撮り鉄の誰もが思うことでしょう……(不謹慎でスミマセン ^^;)。
 運用変更といえばもう1本、この日は8617Fが61Sに入っておりました。しかしこの急行……いくら田都急行が飛ばすとはいえ、通常では絶対に有り得ない!ほどの凄まじい速さで通過して行きました (@o@;;)。「TXの快速が柏たなか駅を通過するときですら、これよりも絶対に遅い!」と断言できるほど……(滝汗)。そこで、シャッターも大急ぎで1/1250秒まで速度を上げて何とか写りましたが、手前から奥へ走り去って行くのは本当に一瞬でしたので、後追い撮影出来たこと自体が奇跡です……。もっともこのために、1/500秒程度でもそれほど乱れない8500系のLED表示が切れ切れになってしまったのは、かえすがえすも残念! (汗
 こんな感じで楽しんだ田都の桜鉄でしたが、時間的に限られていた手前、「伊豆のなつ」8614Fをつかまえられなかったのは心残りです。来年も走っているかどうか……。