~あらすじ~
小説家の近内泰洋は息子の省吾が学校に行っておらず、家の金を持ち出し、さらに全身にアザを作っていると知る。
そして省吾が夜遅く帰宅した日、同級生が何者かによって殺されていた。
登校拒否の息子は同級生の死に関わっているのか? 息子たちが絡んでいたチョコレートゲームとは?
86年日本推理作家協会賞、85年文春6位
~感想~
読んでいて歌野晶午の某作を思い出さずにはいられないストーリー展開で、まるで後日談(というか本編)のよう。
正直言ってトリックは古臭く、事件の背景も作中では「まさか中学生がこんなことを」と驚かれるものの、昨今のネット時代により次々と発掘された、過去の過激な少年犯罪と比べると明らかに小粒で、意外性は感じない。
また余談になるが、息子の素行を心配した父親がふらっと教室に入っていき生徒をつかまえては「私は省吾の父だ」と名乗って聞き込みするところなど、現在ではたとえ保護者だろうと不審者扱いの通報待ったなしだろうなと時代を感じずにはいられない。
しかし本作の最大の長所は無駄を省いた必要最低限の描写による圧倒的なスピード感にあり、とにかく展開が早く、父の疑念から始まり、事態が急展開を迎えるまではもちろん、再出発から決着そして後日談まで簡素に描かれ、筆が衰えることはない。
それでいて父の悲哀や悔恨の念も必要かつ十分に描写され、やれ心情がどうしたのやれ風景がどうしたのと無駄に長大化した作品とは一線を画している。まだ3作しか読んでいないが、このあたりが岡嶋二人の美点なのだろう。
なおどうでもいい話だが、いつもブログ記事には読了した判型の表紙を使用しているが、初出文庫版の表紙は激しくネタバレしているので、今回は新装版の画像を使用したことを付記しておく。
14.10.1
評価:★★★ 6
小説家の近内泰洋は息子の省吾が学校に行っておらず、家の金を持ち出し、さらに全身にアザを作っていると知る。
そして省吾が夜遅く帰宅した日、同級生が何者かによって殺されていた。
登校拒否の息子は同級生の死に関わっているのか? 息子たちが絡んでいたチョコレートゲームとは?
86年日本推理作家協会賞、85年文春6位
~感想~
読んでいて歌野晶午の某作を思い出さずにはいられないストーリー展開で、まるで後日談(というか本編)のよう。
正直言ってトリックは古臭く、事件の背景も作中では「まさか中学生がこんなことを」と驚かれるものの、昨今のネット時代により次々と発掘された、過去の過激な少年犯罪と比べると明らかに小粒で、意外性は感じない。
また余談になるが、息子の素行を心配した父親がふらっと教室に入っていき生徒をつかまえては「私は省吾の父だ」と名乗って聞き込みするところなど、現在ではたとえ保護者だろうと不審者扱いの通報待ったなしだろうなと時代を感じずにはいられない。
しかし本作の最大の長所は無駄を省いた必要最低限の描写による圧倒的なスピード感にあり、とにかく展開が早く、父の疑念から始まり、事態が急展開を迎えるまではもちろん、再出発から決着そして後日談まで簡素に描かれ、筆が衰えることはない。
それでいて父の悲哀や悔恨の念も必要かつ十分に描写され、やれ心情がどうしたのやれ風景がどうしたのと無駄に長大化した作品とは一線を画している。まだ3作しか読んでいないが、このあたりが岡嶋二人の美点なのだろう。
なおどうでもいい話だが、いつもブログ記事には読了した判型の表紙を使用しているが、初出文庫版の表紙は激しくネタバレしているので、今回は新装版の画像を使用したことを付記しておく。
14.10.1
評価:★★★ 6