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ミステリ感想-『倒叙の四季』深水黎一郎

2016年04月16日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「春は縊殺」「夏は溺殺」「秋は刺殺」「冬は氷密室で中毒殺」……元刑事が書いたとされる「完全犯罪完全指南」をもとに編み上げられた完全犯罪は、なぜ失敗したのか?


~感想~
↓プロットにネタバレ注意↓
一部例外を除き犯人の一人称による倒叙形式で描かれる、完全犯罪の瓦解をテーマにした連作短編集。
海野刑事が探偵役を務めることからもお察しの通り、あのシリーズの番外編といった雰囲気が漂う。
なにぶん完全犯罪一歩手前の犯行を崩さなくてはならないため、専門知識や物理的な盲点を駆使した、およそ読者には解きようのないトリックが目白押し。
しかし消化不良を抱えたまま最後まで行くと、急に他シリーズと絡み電光石火で連作短編集としてまとめ上げる、ちょっとした仕掛けが施されている。
それを含めて各編の真相にいちいち皮肉が利いているのも良いが、古畑任三郎ハードモードのような、読者に解けないトリックとその解決を延々と見せられたのはやはり少々物足りなかった。


16.4.15
評価:★★☆ 5
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