~あらすじ~
身体に意志を持つ人面瘡が現れる「人瘤病」がバイオテロにより感染を広げてから17年。
新たな感染者は減ったものの、人瘤病を患った「人間」への差別や、咳嗽反応による人間の起こす事件は増加していた。
そんななか、人間ヘルス「こぶとり姉さん」での火災事件をきっかけに、奇怪な死が連鎖する。
~感想~
デビュー作ではクローン人間の人肉食を、第二作では男女が生殖の代わりに結合を行う奇抜な設定ながら、ガッチガチの論理性と山のような伏線で紛うことなき本格ミステリに仕上げてくる作者の第三弾は、またも完全に頭おかしい。
単にいわゆる異世界ミステリとして書く上での要請に留まらない、独特過ぎる設定やそれに基づく世界観はSF界隈でも話題になっているそうだが、今回も人面瘡に「症状によっては意志を持ち会話もする」「脳機能が失われても代わりに生体機能を維持する」「咳に反応して暴れる」等のいかにもトリックに使えそうな設定を付加しながらも、その扱いは全く予測できない。
また帯の裏には「同じ手がかりから組み上げられる幾通りもの推理の先に、予想を超える真相が待つ。唯一無二の本格推理」と某絶版ミステリの伝説的トリックを思い出させるような惹句が書かれているが、その捌き方は某絶版とは全く異なり、伏線はそれこそ全ページにわたって張り巡らされている勢いで、解決編では多重解決とどんでん返しの連発に、驚き疲れるような感覚まで覚えた。
3作目も相変わらずの悪魔的な世界観と、驚異的な完成度を誇り、個人的には現時点での最高傑作である。
16.10.8
評価:★★★★☆ 9
身体に意志を持つ人面瘡が現れる「人瘤病」がバイオテロにより感染を広げてから17年。
新たな感染者は減ったものの、人瘤病を患った「人間」への差別や、咳嗽反応による人間の起こす事件は増加していた。
そんななか、人間ヘルス「こぶとり姉さん」での火災事件をきっかけに、奇怪な死が連鎖する。
~感想~
デビュー作ではクローン人間の人肉食を、第二作では男女が生殖の代わりに結合を行う奇抜な設定ながら、ガッチガチの論理性と山のような伏線で紛うことなき本格ミステリに仕上げてくる作者の第三弾は、またも完全に頭おかしい。
単にいわゆる異世界ミステリとして書く上での要請に留まらない、独特過ぎる設定やそれに基づく世界観はSF界隈でも話題になっているそうだが、今回も人面瘡に「症状によっては意志を持ち会話もする」「脳機能が失われても代わりに生体機能を維持する」「咳に反応して暴れる」等のいかにもトリックに使えそうな設定を付加しながらも、その扱いは全く予測できない。
また帯の裏には「同じ手がかりから組み上げられる幾通りもの推理の先に、予想を超える真相が待つ。唯一無二の本格推理」と某絶版ミステリの伝説的トリックを思い出させるような惹句が書かれているが、その捌き方は某絶版とは全く異なり、伏線はそれこそ全ページにわたって張り巡らされている勢いで、解決編では多重解決とどんでん返しの連発に、驚き疲れるような感覚まで覚えた。
3作目も相変わらずの悪魔的な世界観と、驚異的な完成度を誇り、個人的には現時点での最高傑作である。
16.10.8
評価:★★★★☆ 9