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ミステリ感想-『捕まえたもん勝ち!』加藤元浩

2016年10月19日 | ミステリ感想
~あらすじ~
やむにやまれぬ事情からご当地アイドルとして活躍した七夕菊乃は、持ち前の正義感を活かし刑事となったのもつかの間、捜査一課に抜擢される。
しかし上役たちは元アイドルの肩書きを利用しお飾りにする魂胆で、反発した菊乃は利用されないため犯人さえ捕まえたもん勝ち! と難事件に挑む。


~感想~
ミステリ界に燦然と輝く最強ミステリマンガ「Q.E.D.証明終了」の作者が小説に殴り込み! ……という話題性だけが取り柄の、可もなく不可もない作品。
懸念された小説家としての腕前は、下手ではないが上手くもない至って普通の筆力で、とりあえず読みづらくはない。とりあえず読みづらい作品が結構な大御所でも珍しくないミステリ界においてこれは褒め言葉ではあるが、では肝心の事件やトリック、ロジック等はどうかといえば、これまで「Q.E.D.」で何度となく驚かされてきた年間ベスト級の傑作には程遠く、作者曰く「小説でしかできないことをやりました」もそんな要素あったっけか? とふと考え込んでしまうほどに功を奏していない。
キャラ造形もヒロインを筆頭に取り立てて珍しいものはなく、全編に渡って引っ張った黒い影の正体もさほど捻りはない。
なにぶんあの「Q.E.D.」の作者だけに筆がこなれてくれば、いずれ傑作を出すかもしれないが、別に今まで通りマンガだけ描いていてくれればいいかな、というのが一ファンの偽らざる本音である。


16.10.15
評価:★★☆ 5
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