~収録作品とあらすじ~
鬼を退治し姫の許婚となった一寸法師に殺人容疑が持ち上がる。だが犯行時刻、彼は鬼の腹の中にいたはずで…一寸法師の不在証明
殺された花咲かじいさんが遺したダイイングメッセージ。喋れないポチはじいさんの無念を晴らすために…花咲か死者伝言
庄屋を殺したばかりの男のもとへ、助けた鶴が恩返しに現れる。二人は言う。絶対にのぞかないでください…つるの倒叙がえし
助けた亀に連れられて訪れた龍宮城で密室殺人が起こる…密室龍宮城
かつて桃太郎に襲われ絶滅の危機に瀕した鬼ヶ島で、次々と鬼が殺される。桃太郎が再び現れたのか?…絶海の鬼ヶ島
2019年本ミス9位、文春7位
~感想~
誰もが知る昔話を題材に、特殊設定ミステリを仕立て上げた意欲作。
ただ換骨奪胎したわけではなく、題材を上手くアレンジし、元ネタならではの展開や、後日談としても読める構成が光る。
冒頭の「一寸法師の不在証明」からして「鬼の腹の中にいた」にいたという奇抜すぎるアリバイとギミックを活かしたトリックが愉快。
続く「花咲か死者伝言」は花さかじいさんのストーリーに準じながらも後日談、そして復讐譚としても読める逸品。
「つるの倒叙がえし」が本書の白眉で、鶴だけではなく男の方も「のぞかないでください」と念を押し、そこから思いも寄らない方向へ物語は転がり続ける。
「密室龍宮城」はちょっと読者には解きようが無いのは難点ながら、豊富な伏線から導き出される真相は秀逸。
ラストの「絶海の鬼ヶ島」は連作短編集としてまとめるわけではないが、ここまでに登場したギミックが再び活かされるサスペンス。露骨なヒントのせいで正直トリックも真相もわかりやすいが、最も良く練られている。
今後もぜひ他の昔話をミステリに魔改造して行って欲しいと思う良作揃いだった。
20.3.14
評価:★★★☆ 7
鬼を退治し姫の許婚となった一寸法師に殺人容疑が持ち上がる。だが犯行時刻、彼は鬼の腹の中にいたはずで…一寸法師の不在証明
殺された花咲かじいさんが遺したダイイングメッセージ。喋れないポチはじいさんの無念を晴らすために…花咲か死者伝言
庄屋を殺したばかりの男のもとへ、助けた鶴が恩返しに現れる。二人は言う。絶対にのぞかないでください…つるの倒叙がえし
助けた亀に連れられて訪れた龍宮城で密室殺人が起こる…密室龍宮城
かつて桃太郎に襲われ絶滅の危機に瀕した鬼ヶ島で、次々と鬼が殺される。桃太郎が再び現れたのか?…絶海の鬼ヶ島
2019年本ミス9位、文春7位
~感想~
誰もが知る昔話を題材に、特殊設定ミステリを仕立て上げた意欲作。
ただ換骨奪胎したわけではなく、題材を上手くアレンジし、元ネタならではの展開や、後日談としても読める構成が光る。
冒頭の「一寸法師の不在証明」からして「鬼の腹の中にいた」にいたという奇抜すぎるアリバイとギミックを活かしたトリックが愉快。
続く「花咲か死者伝言」は花さかじいさんのストーリーに準じながらも後日談、そして復讐譚としても読める逸品。
「つるの倒叙がえし」が本書の白眉で、鶴だけではなく男の方も「のぞかないでください」と念を押し、そこから思いも寄らない方向へ物語は転がり続ける。
「密室龍宮城」はちょっと読者には解きようが無いのは難点ながら、豊富な伏線から導き出される真相は秀逸。
ラストの「絶海の鬼ヶ島」は連作短編集としてまとめるわけではないが、ここまでに登場したギミックが再び活かされるサスペンス。露骨なヒントのせいで正直トリックも真相もわかりやすいが、最も良く練られている。
今後もぜひ他の昔話をミステリに魔改造して行って欲しいと思う良作揃いだった。
20.3.14
評価:★★★☆ 7