小金沢ライブラリー

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キング・オブ・コント2014感想

2014年10月18日 | お笑い
去年もなんやかや書いたので今さら簡単な感想を偉そうに。
コントのタイトルは適当です。


シソンヌ 「くせえラーメン」
演技力の勝利。若手芸人に最も必要なのは面白いネタではなく並の演技力だ。
そして並ではない演技力は大きな武器になる。最後の「バーカ」は意表を突かれて笑った。


巨匠 「おじさんの作り方」
痛恨のネタかぶり。とはいえ準決勝で相手のネタも見ていただろうから覚悟の上か。
後出しでネタかぶりでも勝てると踏んだなら見通しが甘すぎる。
あおりVTRで瓢箪を持っていたので、去年の準決勝のあのネタをもう一度見られると思ったのに残念。


ラバーガール 「赤ちゃん服」
貫禄の安定感。安定感がありすぎてネタの質に左右されず、出来が上がることも下がることもないのが欠点かな。


リンゴスター 「産業スパイ」
単純に実力不足。今大会で明白に滑っていたのは彼らだけだろう。決勝に選んだほうが悪いだけの話。


バンビーノ 「ニーブラ」
個人的に大嫌いな種類のネタのはずだがここまでやられたら笑うわ。
本当に言葉のいらない、誰でも見ていれば理解できる設定の勝利。真面目に外人にも通じそう。
今大会で最もウケたネタだったことは間違いない。大会後に人気が出るのは彼らかチョコレートプラネットだろう。


さらば青春の光 「下ネタ嫌い」
昨年は私的なゴタゴタのせいで笑うに笑えなかったが、挽回を期した今回は相手が悪すぎた。
2本目に何をやるのか見たかったなあ。


ラブレターズ 「メジャーリーガー・モリヤス」
CSで放送したライブが超面白く20回くらい観たのだが、そこで最もウケていたネタを選んだのは正解。
が、制限時間内に縮めて編集に失敗した。単純にウケていたフレーズをつなぎ合わせれば良いというものではない。
相手次第では十分に勝機はあったと思うが、今大会で最も滑った扱いまでされてしまい残念無念。


犬の心 「マジック」
滑り倒してもおかしくない変化球がストライクゾーンギリギリに決まった。
それにしても「バイセクシャル」という単語はそんなに一般認知されてるものだったのかw


チョコレートプラネット 「ポテトチップ」
小道具もキャラも設定も全てが決まった100点に近い出来。こっちを決勝に持ってくるか、決勝の順番が違っていれば戴冠もありえただろう。


アキナ 「ボール取れへん」
相手が悪かったしガキが普通にむかついた。ネタのチョイスミスだし、準決勝をこれで突破したなら選んだ方も悪い。


チョコレートプラネット 「当て字」
決勝のルール上、どう考えてもアンカーが圧倒的有利ななか大健闘した。
予告通りに1番手を引いた時は風が吹いていると思ったが、たぶんシソンヌと順番が逆だったら勝っていたのは彼らの方。運があるのかないのか、ともかく今大会の主役だったことは確実だろう。


バンビーノ 「ハグハグハグゲッター」
昨年の準決勝で最も個人的に嫌いだったネタが降臨。滑り倒してくれてすっきりした。
なぜこれが受け入れられず、一回戦のネタが受け入れられたのかよく再考してほしい。


犬の心 「妹が欲しい」
普通のネタを普通にやって普通に負けた。こんなことになるなら決勝へ行かなければ良かったような。
ラストも腹違いでハーフなら、そこで後輩が逆に血の繋がらない外人母に食いつけば面白いのにとか思ったり。


ラバーガール 「床屋」
いつも通りにいつものネタをやって勝てなかった。彼らにとって決勝に行くことは簡単なことだが、勝ち抜くのは非常に困難なことなのだろう。


シソンヌ 「タクシードライバー」
とれいんさんがツイートした「トップリードがやりたかったのはコレなんだろうなあ」がすげえ腑に落ちた。本当にそれ。
ネタ順がチョコレートプラネットと逆だったら負けていたのは彼らだろうが、今回は運にも恵まれた。ルールはルールだし、このルールで最終的に最も面白かったのが彼らなのは事実である。でも絶対売れないんだろうなあ。
ラーメンのネタと同じくこれもなんとも言えないラストだったのだが他のコントもこんなふうな着地なのだろうか。


総じて明白なハズレネタの少ない、レベルの高い良い大会でした。
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今週のNXT #244

2014年10月17日 | 今週のNXT
モジョ・ローリー ×-◯ タイラー・ブリーズ
(フジワラアームバー(脇固め))

先々週、入場時に揉めた両者が対決。しかしブリーズはその時に鉄柱に叩きつけた右肩を狙い撃ちし、脇固めであっさり勝利を奪った。モジョはさんざんな試合が続いている。


・カーメラの就職活動

エンツォ・アモーレがGMのウィリアム・リーガル卿を招き、カーメラの練習風景を見せる。
機敏な動きで簡単に相手をタップさせたカーメラに感心したリーガル卿は来週テストを行うと告げた。


ヒデオ・イタミ ◯-× ビクター
(ドロップキック)

先週流れてしまった試合が実現。たった3回しか絡んでないのにアセンションとの抗争を振り返るVTRを作られるあたり、イタミは本当に特別扱いされているな。
解説のジェイソン・アルバート(ジャイアント・バーナード)がイタミについて当り障りのないコメントをするなか、高山善廣 VS ドン・フライのようなノーガードの殴り合いで幕を開け、まずはビクターがラフファイトで優勢に。
しかしイタミは得意のキックで逆襲し、盛り上がりに欠ける展開に客席が死んだように静まり返るのも構わず必殺のフットスタンプを狙うが、コナーが裏方のフナキを引きずり出してきて暴行する。
イタミは思わずコーナーから下りるが、ビクターの不意打ちをかわすとドロップキックを顎に浴びせてカウント3を奪った。
だがアセンションにロープに貼り付けにされ、目の前でフナキをボコられる屈辱を味わった。客席はフナキが出てきた時が一番沸いてたな。
あと実況はフナキを「元ハードコア王者」と紹介してたがそれ戴冠10秒でフナキの黒歴史だから! 元クルーザー級王者と呼んであげて!


エンツォ・アモーレ&コリン・キャサディ ×-◯ ボードビレインズ(エイダン・イングリッシュ&サイモン・ゴッチ)
(ゴッチのカミカゼ→イングリッシュのセントーンボム)

たしか先週はエンツォ組と、因縁のあるシルベスター・ルフォール&マーカス・ルイスが戦うと予告していたはずが、なぜかなんの因縁もないボードビレインズとの試合に。先週と言っても撮り溜めしてて下手すりゃ1時間前のことなのだがWWEではよくあること。試合前のマイクで強引に因縁を作れるエンツォはマジ有能。
試合は例によってエンツォがつかまるも、脱出すると体格で圧倒するビッグ・キャスが瞬く間に二人を排除。しかしさんざん暴れて気が済んだのかエンツォに交代したのが運の尽き。キャサディがイングリッシュに不意打ちで場外へ落とされると、その隙にエンツォはツープラトンを浴びてあっさり敗北した。


ベッキー・リンチ ×-◯ サーシャ・バンクス
(バックスタバー→ジャストフェイスロック)

元気なアイルランド娘のベッキーとなんかケバくなったサーシャの一戦。
初めて見るがベッキーの場内人気とキレのある動きに驚かされる。赤毛と低い声はリタを思い出させなくもない。
対するサーシャはキャラも化粧も濃くなっているが、なによりバックスタバーからそのまま相手を離さず後転しジャストフェイスロックで固めるフィニッシュが見事だった。
ペイジやエマが抜けても着々と次が育ってるな。


サミ・ゼイン ×-◯ タイタス・オニール
(クラッシュ・オブ・タイタス(スカイハイ))

ゼインは一軍昇格へのテストなのかでかい相手との試合が多い。今回もタイタスの再調整や売り出しというよりも、昇格間近のゼインやエイドリアン・ネヴィルのテストとしてNXTに派遣されたのだろうか。
体格差がありすぎて、タイタスは単純な技を仕掛けるだけで与えるダメージの説得力が半端ない。
ゼインはほとんど何もできないまま試合後半へ。突進をかわして場外へ落とすとようやく逆襲開始。サマーソルト・プランチャ、クロスボディから串刺しブートを狙うも逆にブートを浴びてダウン。この試合3回目か4回目のボディスラムを抜け出しスリーパーホールドで固め、投げ落とされるも突っ込んできたタイタスにカウンタのブートが一閃。
しかしロープに近すぎてフォールできず千載一遇のチャンスを逃すと、ロープ渡りを足払いで防がれ股間を強打。ロープ上からタイタスの必殺技を浴びて敗北した。

試合後、タイタスはエプロンにゼインを寝かせ、トップロープからのレッグドロップを狙うがネヴィルが駆けつけゼインを救出した。お前の体格差でそれやったら首もげるぞ。
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ミステリ感想-『重力ピエロ』伊坂幸太郎

2014年10月14日 | ミステリ感想
~あらすじ~
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。
家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。
連続放火と、火事を予見するような謎の落書き。謎解きに乗り出した家族が直面する真実とは。
03年このミス3位、文春4位、日本推理作家協会賞・候補


~感想~
よく勘違いされるがこれは「書評」ではなくただの「感想」なので今回は特に個人的な話をするが、大傑作「ゴールデンスランバー」をオールタイム・ベスト10に選んでもなお、人生で読むのを途中で挫折したたった2冊の本の片割れである「陽気なギャングが地球を回す」で受けたトラウマが強烈で(※もう一冊はアンソロジーの21世紀本格)、「面白い本を教えてくれ」系スレ等でどこからともなく沸いてくる信者の糞ウザさとあいまってどうしても伊坂幸太郎は敬遠しがちだった。
本作も「スタイリッシュ・ファミリー小説」などと恐ろしい冠を付けられており、読むのにだいぶ二の足を踏んだ。スタイリッシュ◯◯なんて他に「デビル・メイ・クライ」か「彼岸島」しか知らないぞ。

だが読み始めるや恐怖はたちまち氷解した。あの頃は怖気しか感じなかった文体が軽妙に響き、実に心地よい。膨大な参考文献から引用した名言や小気味よい比喩の数々は的確で、物語に関係あるようで絶妙にさほど関係ない過去の逸話がいちいち面白く、とにかく読み進めるのが楽しくてしかたない。これは信者が生まれるのも納得だ。
しかし後半になるにつれ、静かに進行していた物語の裏が明かされていくにつれ、どんどん期待が尻すぼみしていく。なんせ全てが予定調和なのだ。どこまで隠す気があるのか知らないが、なにもかも全く隠し切れておらず、伏線も「ゴールデンスランバー」のように連鎖爆発するところまでは行かなかった。結末もそれでいいのかそれでと苦言を呈する他ないあんまりな着地で、単純にまだデビューから4作目のこの時点の作者にはそこまでの力量がなかっただけの話だろうか。

ともあれ伊坂トラウマはほとんど払拭できた。「陽気なギャングが地球を回す」に再挑戦する勇気はまだないが、伊坂作品をもう少し読んでみようと思う。


14.10.13
評価:★★★ 6
コメント (2)

今週のNXT #243

2014年10月10日 | 今週のNXT
NXT女子王座戦
シャーロット ◯-× ベイリー
(ナチュラル・セレクション)防衛成功

特番の再戦が第一試合で実現。シャーロットはすでに一度破っているベイリー相手に余裕の態度だが、丸め込みとアームドラッグの連発で序盤はベイリーがペースを握る。
しかしパパ直伝の足攻めでシャーロットが流れを引き戻し、フレアー家伝統の四の字固めへ。ブリッジしてさらに締め上げるアレンジも加えるが、ベイリーは反転して脱出。集中攻撃を受けた左足を引きずりながら反撃するも決め手に欠け、ぜんぜんネックに掛かってないネックブリーカーで仕留められた。相変わらずシャーロットは必殺技が雑だな。
試合後はハグと握手を交わし、健闘を讃え合った。


ヒデオ・イタミ --- ビクター
(試合不成立)

タッグ王座戦を妨害されたアセンションが、ゴング前に二人がかりでイタミをボコリ試合は不成立に。
ストーリーを優先するよりもイタミの二試合目を見たかったが。


バロン・コービン ◯-× トロイ・マクレイン
(エンド・オブ・デイズ)

「今夜も無表情を貫くのでしょうか」と実況が言った直後に微笑する空気の読めないコービンはバイカーキャラになった模様。バッドアス時代のアンダーテイカーは無理としてもチャック・パランボを超えられるか。ハードルは結構低いぞ。
試合はエンド・オブ・デイズと名付けられたシスターアビゲイルもどきで秒殺勝利だった。


ボードビレインズ(エイダン・イングリッシュ&サイモン・ゴッチ) ◯-× タイ・ディリンジャー&ジェイソン・ジョーダン
(ゴッチのエアプレンスピン→カミカゼ→イングリッシュのセントーンボム)

初めて見たがボードビレインズの入場は最高だな!
イングリッシュはキャラも技も個性を確立しもはや安定感が漂う。ゴッチもイングリッシュの相方に特化したコミカルなキャラ付けのようだ。
ディリンジャー&ジョーダンはビルドアップした肉体とパワーが持ち味のようだがビレインズと並ぶとさすがに地味。
試合もボードビレインズのペースで進み、ゴッチがエアプレンスピンからカミカゼでディリンジャーを叩きつけ、そこにシン・カラに勝るとも劣らない華麗なフォームでイングリッシュがセントーンボムを浴びせた。そんな飛び技まで使えたのか。


・フナキがヒデオ・イタミのサポートに

アセンションに痛めつけられアイシングするイタミのもとに、元クルーザー級王者のフナキが声をかけ、サポートを約束した。
フナキはTAKAみちのくらとともにWWEに乗り込んだ海援隊の一員・船木勝一。一軍に日本人最長の13年在籍し、短期間ながらベルトも2本獲得。現在はセミリタイアしWWEのエージェントを務めている。
さすがにイタミとタッグ結成はしないだろうが、セコンドにつくだけでもうれしいな。


NXT王座戦
エイドリアン・ネヴィル ◯-× タイソン・キッド
(レッドアロー)防衛成功

タイタス・オニールが客席から見守るなか、妻ナタリヤの尽力で王座戦にこぎ着けたタイソンが意気揚々と攻め込む。
対するネヴィルは観客の支持を集めるサミ・ゼインとの対比から歓声を得られず、いまいち気分が乗らない様子。
だが腕ひしぎの体勢に取られるも、そう体格の変わらないタイソンを腕ひしぎに掛けられたまま担ぎ上げるパワーを見せるとさすがに客席も盛り上がる。
タイソンは足技の連打で流れを奪い返すと、スタナーの体勢から旋回しブレーンバスターのように落とす新技を披露。さらに雪崩式サンセットフリップを仕掛けるもネヴィルはまさかの両足着地。逆に強烈なライガーボムを浴びるがカウント2まで。
ネヴィルはレッドアローを狙うがかわしたタイソンはシャープシューターに捕らえる。どうにか脱出したネヴィルが息も絶え絶えで場外をうろついていると、タイタスがレフェリーの見ていない隙にネヴィルを殴った。
そこにサミ・ゼインが駆けつけてタイタスを排除し、ネヴィルを激励。カウント9でリングに這い上がったネヴィルは、待ち構えていたタイソンにトップロープへ乗せられるも、スーパープレックスを崩してマットに落とし、すかさずレッドアローを直撃させ王座を守った。
敗れたタイソンはわざわざ「二度とNXT王座に挑めません」とアナウンスされ苦悶の表情を浮かべた。
コメント

ミステリ感想-『廃墟に乞う』佐々木譲

2014年10月09日 | ミステリ感想
~あらすじ~
自身のミスから二人の死者を出してしまい、PTSDに苦しむ刑事・仙道孝司は無期限の療養生活を命じられた。
徐々に回復していく彼は様々な事件への私的な捜査を依頼される。

2010年直木賞


~感想~
作者には「笑う警官」、「制服捜査」など捜査の本筋から外された警官の活躍を描く作品は数多いが、その中でもダントツで地味な一作。
直木賞の選評を見ても「これまでの力作と比べると地味で小粒だけどでも功労賞だし」と消去法で選んだ様子で、それならこの先いくらでも傑作を書ける作家なのだから、無理に選ばず今回は受賞なしでいいじゃないかと思わずにいられない。ただでさえ一般層以外には「直木賞(笑)」と思われてるのに、自らなけなしの権威を下げて何がしたいのだろうか。

また内容にもいくつか不満があり、なにぶん休職中の刑事の私的な捜査のため、現場に入るのにも一苦労……しそうなものだが、この主人公は人脈を活かしてたやすく情報を得てしまうのがまず不可解。警察機構が大勢で捜査した数日後にひょっこり現れた部外者が、ほとんどの場合24時間以内に次々と手掛かりを入手し、他の捜査員をゴボウ抜きで真相にたどり着くのも無理があるし、まず間違いなく真相だというところまでは明かされるものの、私的な捜査の限界で結末はぼかされ、動機その他は置き去りにされるのも物足りない。
中でも5編目の「博労沢の殺人」は僕の読解力の低さを差し引いても、あまりにも説明不足で事件の全容を語りきっているようには思えない。
もっとも短編の分量かつこの設定で結末まで描くには多少の無理は必要だろうが、ならばなぜ短編にしたのだろうという疑問は残る。
純然たる刑事小説でありながらこのミスその他ランキングの常連である作者だが、本作は直木賞の他に何もランキングや賞に絡んでおらず、他の傑作群と比べるとやはり一段落ちる作品であろう。

余談だが選考委員の五木寛之は、選評にあたって作中で使われていない文章を採り上げ論じてしまう失態を演じ、自ら選考委員を辞去したという。
単純ミスや思い込みだとしても「読んでいなくても選評できる賞」という印象を与えてしまったのだから当然だろう。


14.10.6
評価:★★ 4
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ミステリ感想-『闇に香る嘘』下村敦史

2014年10月08日 | ミステリ感想
~あらすじ~
40過ぎで失明し、娘とも疎遠になった村上和久。
腎臓病に苦しむ孫娘を救うため六親等内のドナーを探すが、兄は頑なに検査を拒む。
中国残留孤児だった兄は偽物ではないかという疑念を抱いた和久は、満州時代の知人を訪ね歩く。

2014年第60回江戸川乱歩賞


~感想~
審査員の石田衣良が「ベテラン作家なら決して手をださないくらい主人公の設定のハードルが高い」と言うように、全盲&60代後半の語り手&中国残留孤児&密航、と想像するだに書くのが面倒そうな舞台設定で、しかも落ち目かつマンネリの江戸川乱歩賞&新人のデビュー作&乱歩賞の常連がタイトルを獲りに来た作品、と来てはどう考えても地雷確定の空気がただよう。
しかし達者とまでは言えないが落ち着いた文体、確かな取材量を感じさせる描写、膨大な伏線と回収技術、真相開示を境に反転する物語と言葉などなど、実に丹念かつ丁寧に書かれた作品で、完成度は非常に高い。
特筆すべきは伏線の上手さと的確さで、回収されるたびに仕掛けられた場面を思い出させるのは、当然のことのように感じられるかもしれないがなかなか出来ることでない。
筆力などまだまだ向上する余地はあり、こなれてくれば一層読みやすくなるだろうし、おそらく量産の利く作風ではないが、今後も良質な作品を出してくれそうな雰囲気がある。
ここ10年、悪目立ちしている覇王・遠藤武文以外にぱっとしない受賞者ばかり輩出している乱歩賞から、久々に有望株が現れたのではなかろうか。


14.10.5
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『チョコレートゲーム』岡嶋二人

2014年10月07日 | ミステリ感想
~あらすじ~
小説家の近内泰洋は息子の省吾が学校に行っておらず、家の金を持ち出し、さらに全身にアザを作っていると知る。
そして省吾が夜遅く帰宅した日、同級生が何者かによって殺されていた。
登校拒否の息子は同級生の死に関わっているのか? 息子たちが絡んでいたチョコレートゲームとは?

86年日本推理作家協会賞、85年文春6位


~感想~
読んでいて歌野晶午の某作を思い出さずにはいられないストーリー展開で、まるで後日談(というか本編)のよう。
正直言ってトリックは古臭く、事件の背景も作中では「まさか中学生がこんなことを」と驚かれるものの、昨今のネット時代により次々と発掘された、過去の過激な少年犯罪と比べると明らかに小粒で、意外性は感じない。
また余談になるが、息子の素行を心配した父親がふらっと教室に入っていき生徒をつかまえては「私は省吾の父だ」と名乗って聞き込みするところなど、現在ではたとえ保護者だろうと不審者扱いの通報待ったなしだろうなと時代を感じずにはいられない。

しかし本作の最大の長所は無駄を省いた必要最低限の描写による圧倒的なスピード感にあり、とにかく展開が早く、父の疑念から始まり、事態が急展開を迎えるまではもちろん、再出発から決着そして後日談まで簡素に描かれ、筆が衰えることはない。
それでいて父の悲哀や悔恨の念も必要かつ十分に描写され、やれ心情がどうしたのやれ風景がどうしたのと無駄に長大化した作品とは一線を画している。まだ3作しか読んでいないが、このあたりが岡嶋二人の美点なのだろう。

なおどうでもいい話だが、いつもブログ記事には読了した判型の表紙を使用しているが、初出文庫版の表紙は激しくネタバレしているので、今回は新装版の画像を使用したことを付記しておく。


14.10.1
評価:★★★ 6
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今週のキン肉マン #107 ザ・ニンジャと血盟軍魂!!

2014年10月06日 | 今週のキン肉マン
・軽く首を振っただけでかわされるニンジャの決め技
・凶器攻撃は反則? 超人レスリングでは服のパーツは体の一部ですが?
・クロウビークの直撃<ボディブロー? 断ててない。ぜんぜん骨を断ててないよ
・スグル「お前がそう言うならそうなんだろう。お前の中ではな」
・ブロッケン「みんなが最高の仲間だからチキショウ!」
・ブロッケン「あったよちょうどいい石が!」「よーしでかした!」
・どう見ても背中に刺さってるのに腹に刺さるあたりが奥義なのか
・Lの陣形本当にキターー!!
・不敵に笑いながらドヤ顔で座るのが肝
・地味だけど奥義も出してしまったしカラスマンの敗北不可避
・ちなみにLの陣形の意味は「望みを捨てずに戦え」だからあんまり意味はないけどな
・ニンジャは勝つには勝つけど死ぬかな……
・ニンジャの決め技はナパームストレッチで、超人血盟軍の絆を示すと予想
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今週のNXT #242

2014年10月03日 | 今週のNXT
モジョ・ローリー ×-◯ ブル・デンプシー
(ダイビングヘッドバッド)

先々週の特番の再戦。復讐に燃えるモジョはゴング前に飛び掛かりスピードでかく乱するが、体当たりで動きを止められるとダイビングヘッドバッド一発で沈んだ。先々週より数十秒はもったかなという始末だった。
さらにモジョは試合後、入場してくるタイラー・ブリーズといざこざを起こして鉄柱に叩きつけられる。手軽に抗争が始まりそうだ。


ジャスティン・ガブリエル ×-◯ タイラー・ブリーズ
(ビューティーショット)

序盤に低空ドロップキックとパーフェクトショットを浴びたブリーズがあっさり前後不覚に陥り、一方的にガブリエルの攻撃を受け続ける。
だがSTOからのライオンサルトを辛うじて返すと、フィニッシュを狙った450スプラッシュを回避し、すかさずスーパーモデルキックとビューティーショットを叩き込んで逆転勝ちした。


・ナタリヤがタイソン・キッドの王座挑戦を懇願

NXTの観客からは「タイソンの旦那」と呼ばれるナタリヤがGMのウィリアム・リーガル卿に夫の王座再挑戦を直訴。
リーガル卿は負けたら二度とNXT王座に挑めないことを条件に承諾した。


ベイリー ◯-× アレクサ・ブリス
(ベリー・トゥ・ベリー)

フェイス同士の一戦で両者ともに笑顔で技を繰り出し合う。体操経験のあるアレクサは柔軟性を活かし、ベイリーは観客の支持を受けてアームドラッグと丸め込みを中心に戦い、最後はアレクサのスタンディング・ムーンサルトをかわしたベイリーがハグからのベリー・トゥ・ベリーで3カウントを奪った。どっちもほとんどダメージ負ってないのに。
試合後、ベイリーはシャーロットを呼び出して再戦を要求。シャーロットも快諾し来週の王座戦が決まった。


エンツォ・アモーレ ◯-× マーカス・ルイス
(ヅラをはぎ取る→スクールボーイ)

エンツォ組にスキンヘッドにされたルイスは、かつて同じ目に遭ったカート・アングルも愛用していたカツラ着きのヘッドギアを装備。
怒り心頭のわりにエンツォのマイクアピールをおとなしく聞いてあげる優しさを見せるが、試合が始まると荒々しい打撃で攻め立てる。
だが場外に落とされたエンツォが苦しまぎれにヅラをはぎ取ると、動揺するルイスをすかさず丸め込んで勝利を収めた。


NXTタッグ王座戦
ルチャ・ドラゴンズ(シン・カラ&カリスト) ◯-× アセンション(コナー&ビクター)
(サリダ・デル・ソル)防衛成功

怪奇派から筋肉派に転身し個性とタイトルを失ったアセンションが再戦に臨む。
序盤はドラゴンズが連携技を次々と決めるが、気がつけば先々週とは逆にカリストがつかまる展開。
10分近くボコられたカリストは一瞬の隙をついて脱出しフニ…シン・カラにタッチするが、余力たっぷりのビクターに簡単に二人そろって排除されてしまう。
万事休すかと思われたその時、ヒデオ・イタミがエントランスに現れ、アセンションをひと睨み。気を取られたビクターにいつの間にか交代したカリストがSDS(サリダ・デル・ソル)を決めて辛くも王座防衛を果たした。
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10月の新刊情報※11/29更新

2014年10月01日 | ミステリ界隈
1日 新潮文庫
宮部みゆき ソロモンの偽証―第II部 決意―上・下巻
相沢沙呼 スキュラ&カリュブディス

6日 講談社ノベルス
望月守宮 無貌伝~奪われた顔~
汀こるもの レベル98少女の傾向と対策14日 講談社
西尾維新 掟上今日子の備忘録

7日 朝日新聞出版
湊かなえ 物語のおわり

7日 河出文庫
深水黎一郎 最後のトリック ※ウルチモ・トルッコ改題

8日 光文社
連城三紀彦 処刑までの十章

9日 講談社
東川篤哉 純喫茶「一服堂」の四季

9日 幻冬舎文庫
浦賀和宏 姫君よ、殺戮の海を渡れ
近藤史恵 はぶらし
麻見和史 屑の刃

9日 光文社文庫
中町信 偽りの殺意
大沢在昌 狼花 新宿鮫9 新装版

11日 祥伝社
柚月裕子 パレートの誤算

14日 文藝春秋
歌野晶午 ずっとあなたが好きでした
加納朋子 トオリヌケキンシ

14日 河出書房新社
似鳥鶏 ゼロの日に叫ぶ 戦力外捜査官3

14日 東京創元社
内山純 Bハナブサへようこそ ※鮎川哲也賞

15日 講談社文庫
西尾維新 零崎人識の人間関係 匂宮出夢との関係
西尾維新 零崎人識の人間関係 零崎双識との関係
西尾維新 零崎人識の人間関係 無桐伊織との関係
西尾維新 零崎人識の人間関係 戯言遣いとの関係
鏑木蓮 真友

24日 文藝春秋
中山七里 テミスの剣

25日 中央公論新社
愛川晶 ヘルたん ヘルパー探偵とマドンナの帰還

25日 中公文庫
愛川晶 ヘルたん ヘルパー探偵の誕生

25日 角川文庫
藤木稟 大年神が彷徨う島

25日 原書房
霞流一 フライプレイ! 監棺館殺人事件

28日 講談社
連城三紀彦 女王

29日 文藝春秋
柄刀一 密室の神話
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