小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『影の中の影』月村了衛

2020年03月10日 | ミステリ感想
~あらすじ~
ジャーナリストの仁科曜子は中国政府がウイグル地区にもたらした恐るべき陰謀を追い亡命者たちに接触するが、暗殺部隊に襲われる。
だが曜子に目を掛ける暴力団組長から派遣されたヤクザと、伝説の傭兵カーガーが救出に現れ、死闘の幕が開く。

2015年このミス12位


~感想~
ヤクザと!! 伝説の傭兵が!! 暗殺部隊と!! 戦う!!
以上!!!!!

「土漠の花」・「欺す衆生」と全く同じ出だしになったが感想もだいたい同じで他に言うべきことはほとんどない。
多少ミステリ的な仕掛けも無いではないが、すぐにわかる代物で、読者を驚かせるよりも物語を盛り上げるための仕掛けである。
ウイグルその他の国際情勢も、現代日本でガチの殺し合いを起こすための舞台設定であり、そんな小難しいことよりヤクザ(というか侠客)たちの華々しい死に様と、ほぼ全員が暗器使いの中国暗殺部隊と伝説の傭兵の死闘を楽しむべきだろう。
あらすじから想像するままの話なので、興味のある方はどうぞ。


20.3.8
評価:★★★★ 8
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マンガ感想-『C.M.B. 森羅博物館の事件目録 12』加藤元浩

2020年03月09日 | マンガ感想
「封泥」★★☆ 5
~あらすじ~
古代バビロニアで交易に用いられた行政文書が盗難されるが、入っていた壺には封泥がされたまま。謎を解くため森羅を呼び寄せたのは、彼の3人の養父の一人レイ博士だった。

~感想~
森羅の養父の一人レイが初登場。森羅の変人ぶりの何割かは彼の影響だ。
読者には絶対解けないトリックだが、単純に封泥そのものが興味深い。

「老婆と猿」★★☆ 5
~あらすじ~
立樹の祖父の友人に頼まれ蔵の整理を手伝う森羅たち。だが屋敷の主の老婦人が急逝し、密室の中には彼女の飼っているマントヒヒだけがいた。

~感想~
某街の殺人オマージュというほどのことはない小ネタ。森羅が最後に手に入れた物が主眼である。

「張(チャン)の幽霊」★★★☆ 7
~あらすじ~
香港の占い師に羅盤を売って欲しいと粘る森羅。占い師の甥の刑事は、人気女優の張が3ヶ月前から幽霊が見えるようになり困っていると相談する。

~感想~
強気にも2回に渡り意外な解決をアピールしただけはある結末。アンフェアといえばアンフェアなんだけども。
それよりもこれまで何度も見せてきた、作者のホラーの素養が全開で素晴らしい。いっぺん純然たるホラーを描いて欲しい。
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マンガ感想-『C.M.B. 森羅博物館の事件目録 11』加藤元浩

2020年03月08日 | マンガ感想
「ファイストスの円盤」★★★ 6
~あらすじ~
本物のオーパーツとも呼ばれるファイストスの円盤の印章が売りに出される。その商談中、買い手の兄嫁が離婚係争中の夫を追いクルーザーに乗り込んでくるが、彼女が何者かに射殺される。

~感想~
ファイストスの円盤がほとんど関係ないが、円盤自体は興味深いし、事件の構図とオチが見事。Q.E.D.でも全然描けた佳作ミステリだったと思う。

「初釜事件」★★☆ 5
~あらすじ~
茶会のたびに友人に自慢話をされるのにうんざりした立樹の祖父は、博識な森羅を連れて行き亭主の鼻を明かそうとするが、茶会の後に箱の中で黒楽茶碗が独楽にすり替わってしまう。

~感想~
マンガならではのトリック。内容より森羅を名字で呼ぶ立樹祖父に違和感がw
好好爺然してるのに壁を感じる。

「丸〆猫」★★★ 6
~あらすじ~
妻を亡くして以来ふさぎ込んだ男の周囲で奇妙な出来事が相次ぐ。彼は妻との思い出の品である丸〆猫があの世に招いているように思え……。

~感想~
普通にキモい丸〆猫がどんどん怖く見えてくるホラー風味。だが一番怖いのはひょっこり出てくる犯人で、こんな日常の謎にふさわしくない計算ずくの知能犯である。
あと人間心理のわかってきた森羅だが、(ネタバレ→)博物館へのアクセスまでは気が回ってないのが笑った。
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マンガ感想-『C.M.B. 森羅博物館の事件目録 10』加藤元浩

2020年03月07日 | マンガ感想
「その差6千万年」★★☆ 5
~あらすじ~
ゴビ砂漠で発見された人間と恐竜が同じ地層に埋まった化石。人類は恐竜の絶滅から6千万年後に現れたはずが……。

~感想~
オカルトファンには有名な話なので特に感想はない。

「釘」★★★ 6
~あらすじ~
森羅らの高校で流行する不幸のメール。添付された写真に写る、杉の木に打ち付けられた藁人形にはひき逃げ事件の被害者の名前が書かれており、加害者は何者かが被害者を突き飛ばしたと主張していた。

~感想~
作者おなじみだが、ひき逃げ犯の名字が「出会頭」で笑った。チャカ崎かよ。
オカルト風味の物語はもちろんのこと、ある事実をその場で告げず、ここぞという場面まで口をつぐんでいる森羅の成長がうかがえるのも面白い。

「地球最後の夏休み」★★☆ 5
~あらすじ~
夏休み最後の日に海水浴に出掛けた森羅たち。海の家の主人から近くの洞窟に幽霊が出ると聞かされ、肝試しに行くと不気味な笑い声が……。

~感想~
夏を描くのがめっぽう得意な作者がまた一編を積み上げた。トリック? 何それおいしいの?

「ヒドラウリス」★★★ 6
~あらすじ~
イタリア山間部の村に伝わる呪いのパイプオルガン。それを弾いた者は命を落とすといい、森羅が調査に赴く。

~感想~
これは良いトリックですね! こういうのはマンガでやってこそ映える。
コメント

マンガ感想-『C.M.B. 森羅博物館の事件目録 9』加藤元浩

2020年03月06日 | マンガ感想
「太陽とフォークロア」★★★☆ 7
~あらすじ~
かつてインカ帝国の都として栄えたクスコ。太陽神殿の遺跡の地下道で黄金を手にした少年が発見される。
遺跡の道案内を務めていた少年は、大学教授とともに調査に行き、教授とはぐれたと語り、黄金郷の存在に騒然となる。

~感想~
C.M.B.ならではの歴史ロマンと冒険が光る一編。マチュピチュと現代にも残るロマンあふれ過ぎな地下迷宮が出てきただけでもう満足である。
ミステリ的にも意外な、そして最後まで悪気のなさそうな犯人のインパクトは強い。


「メタモルフォーゼ」★★☆ 5
~あらすじ~
森羅らの通う高校の図書室に飾られていたマリア・シビラ・メーリアンの絵画が忽然と姿を消し、居合わせた生徒が疑われる。

~感想~
小ネタ程度のトリックながらメーリアンという女傑と、タイトルと絡めた結末が良い。
立樹は年齢の割にちょっと人間が出来すぎているがw


「死滅回遊」★★☆ 5
~あらすじ~
沖縄を訪れた森羅らはスキューバダイビングインストラクターの夫婦喧嘩に遭遇。前妻は死滅回遊に飲まれ亡くなっていたが、夫に殺されたという噂も立っていた。

~感想~
森羅以外にほぼ推理不能のトリックは置いといて二段構えの真相に見どころはある。
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ミステリ感想-『まほり』高田大介

2020年03月03日 | ミステリ感想
~あらすじ~
大学生の勝山裕はゼミ生から聞いた怪談に、自身の出生の秘密につながる要素を見出し調査を始める。
図書館で再会した塾生の飯山香織とともにくだんの山村に向かい、数々の史料に当たるうち、陰惨な過去と奇妙な因習に行き着く。

2019年このミス19位


~感想~
まず分厚い本ながら、作者は言語学者ということもあり、初めて見るような難解な単語や言葉遣いが散見され、ミステリとして解くべき謎は特に現れず、その合間にラブコメ風に主人公カップルはいちゃつきと、いったい何に付き合わされているのかわからなくなり、リーダビリティはよろしくない。
自分は歴史大好きなので、実在する豊富な史料に当たりながらの史学の講義はなかなか面白く読めたが、それでも大半は読み飛ばした。
物語が急展開するのは終盤のことで、そこでも急にどうした?と聞きたくなるほど筆に酔って昭和の冒険譚みたいな大上段に構えた文章が飛び出すし、TRICKでもやらないような謎の因習が、それも差し迫った理由も無しに現れるので、呆気にとられる。
だが最後の最後に、残された数々の疑問や、もしや次回作に続くんじゃなかろうかと思われた危惧を、まとめて吹き飛ばすある真相が明かされ、同時に山のように膨れ上がっていた不満もだいたいが霧散した。
なるほど、このミス期限ギリギリの10月に出版されながら、このミス19位に滑り込んだ原動力はこれだったのか。
そこに至るまでの過程が山あり谷ありというか、延々と続くきつい上り道なので、読む人は大いに選ぶものの、読了さえすればとりあえず一通りの満足は得られるだろう。
読むのも書くのも実に骨が折れる、すさまじい労作である。


20.2.29
評価:★★★ 6
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今週のキン肉マン #310 裁きが導く先!!

2020年03月02日 | 今週のキン肉マン
・回またいだらもっと粉々になったサタン様
・「またしてもザ・マンとその手下どもめ…」もしかして過去何度もこんなふうに返り討ちにされてらっしゃる?
・始祖それぞれにサタン様が爆散させられるスピンオフ超読みたい
・テリブルペインクラッチやエルクホルンテンペストやマッ!で粉々になるサタン様絶対面白い
・長年の宿敵が一方的にボコられたらそりゃ「サ…サタンが」しか言えないよ
・期待通りのテンプレ捨て台詞を残してサタン様退場
・せっかくのバリアも壊れた模様
・かっこいいポーズで降りてくるジャスティスマン
・MCになったらすげえしゃべるな
・本当にサタン様とは口も利きたくなかったんだな
・おいブロッケンちょっと待てお前元気すぎるだろ
・お前ファントムキャノンみたいな勢いで落ちてたよな? あの時は入院したよな?
・【悲報】サタン様黒幕どころかクリア後に戦える隠しキャラだった
・あんなに面白かったのに不要不急の用件だったのかサタン様
・壮大な後付け設定キターー
・そんな危機のために集められたのにやべえダンベル用意したの…?
・始祖を全滅させられるほどの戦力なら確かに始祖いらないかもしれんが
・これからアリステラにつかみかかられると察知してマリキータを下ろしておくアタル兄さんなんという冷静で(ry
・ザ・マンから真相を聞いたらオールスターで真の敵と対決か?
・メンバー予想がはかどるな!
・ザ・マンが聴いてたレコードはアカシックレコードという狂った予想マジで当たるんじゃないか
・数話後にサタン様「ゲギョゲギョ次こそは皆殺しにしてやる~」真の敵「お前に次はない」サタン様「ゲギャー!」心 臓 爆 散 で死にそう
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3月の新刊情報

2020年03月01日 | ミステリ界隈
2月5日 光文社文庫
東野圭吾 犯人のいない殺人の夜 ※新装版

2月20日 光文社
天祢涼 境内ではお静かに 七夕祭りの事件帖


12日 創元推理文庫
市川憂人 ブルーローズは眠らない

13日 講談社文庫
歌野晶午 魔王城殺人事件
島田荘司 改訂完全版 火刑都市
薬丸岳 刑事の怒り

13日 祥伝社文庫
石持浅海 賛美せよ、と成功は言った

17日 実業之日本社
東野圭吾 クスノキの番人

18日 講談社
西尾維新 掟上今日子の設計図

19日 創元推理文庫
岡田鯱彦 薫大将と匂の宮
笠井潔 黄昏の館

24日 角川文庫
相沢沙呼 マツリカ・マトリョシカ
柚月裕子 狂犬の眼

27日 文藝春秋
貴志祐介 罪人の選択

27日 角川書店
柚月裕子 暴虎の牙
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