小泉首相、聞き捨てにせよ「皇室典範有識者会議提案」を
最終答申を小泉首相に渡したらしいね。テレビで見た。どうもあのまま法案化するつもりらしい。吉川座長も『届け捨て』にするつもりはなくて、自信満々らしい。困ったものだ。
マスコミの報道が相変わらずチンプンカンプンで、隔靴掻痒の舌足らずだ。
こういう問題はどういう問題意識(課題)で諮問したのか、明確に報道しなければいけない。「皇位の安定的継承」かね。これじゃ素っ気無くて分からん。安定的継承とはなにか、明確でない。いかなる条件のもとでの安定的継承なのか。無前提、無条件なのか。そんな簡単なことなら「有識者」に諮問するまでもあるまい。首相の知能でも判断できよう。
明確かつ意味のある設問でなければ、無意味、有害な結論しか出ない。「有識者」というのも分からない言葉だ。皇位継承問題に限っていえば、諮問委員のなかに有識者はいないようだ。一般的な意味で「物知りの長屋の隠居」という意味だろうか。それならなぜあの10人が選ばれたのかの説明が報道の最初にあるべきだ。全会一致の結論というのも人為的な首相に忠実なロボット志向型人選をうかがわせる。誰が事務型で人選を担当したのかも報道すべきだろう。
答申の出し方も妙だ。普通はこの問題についてはこういう問題(複数)がある。考えたか、対処の仕方にはいくつかの選択肢がある。それぞれの選択肢の長所と短所はかくかくである。とするのが普通だろう。そうして最終判断は諮問者(首相)に委ねる。単純な方程式を解くのではない。数学のように明澄を旨とする学問でも高次方程式では解は複数になる、あるいは解は定まらなくなる。いわんや有史以来のいきさつのある皇位継承の問題がど素人の長屋の隠居じいい、隠居ばばあがチョコチョコ、モゴモゴ話して茶話(チャバナシ)の間に決まるものではあるまい。
小泉さんも楽なものだ。あてがいの定食をかっ食らうようなものではないか。フランス料理でも、ちょっと気のきいたレストランに行けばアペリティフの選択にはじまり、ワインの選択、ドレッシングの選択、肉の焼き方(フランス料理では聞かないかな、アメリカ西部のステーキ屋か、まあいいや)、食事が終わればリキュールの好みまで聞かれるではないか。店が提供できるアドバイスはそれぞれの選択についての基礎データのみである(ウエイターやソムリエ、場合によってはシェフがテーブルにでばって来ることもある)。定食を押し付けるのは場末の移民相手の安食堂である。およそ、小泉さんらしくないね。
今からでも遅くない。小泉首相、答申は聞き置いて、聞き捨てにしたまえ。