レイモンド・チャンドラーならこう書く。「その男にはアゴが無かった」。またこうも書くだろう。「その男は反っ歯だった」。
その男の娘もアゴが無かったし、反っ歯だった。その娘の産んだ男が安倍晋三である。したがって安倍首相の遺伝子はその外祖父のものではない。むしろ大叔父すなわち外祖父の弟の遺伝子を受け継いでいる。外祖父とは岸信介であり、大叔父とは佐藤栄作である。勿論肉体的な遺伝子のことである。精神的なものが遺伝するかどうかは現在の科学ではまだ解明されていない。
安倍首相の行政改革にいま一つ違和感があるのは岸信介こそ官僚が国を誤った見本だからである。昭和十年代に軍事官僚がのしてくると、相乗りしようと腹に一物の文官が軍事官僚と組んで政治の世界に入り込んでくる。彼らを「革新官僚」なる美名で世間ははやしたのだ。その典型が産業行政官僚だった岸信介である。ちゃんと東条英機と一緒にA級戦犯としてアメリカは訴追した。東京裁判のうさんくささはともかくお仲間のクラスタリングには妥当性がある。
安倍さんは外祖父の例を見て官僚を亡国の元凶と見ているのかもしれないが。それならいいのだが。
革新官僚といえば1990年代に自民党一党支配が終わって、小沢一郎とかいう人物が出てきたときに小沢のもとに群がって政界に進出した官僚たちは戦前の「革新官僚」の同類である。信用できない。
書きかけ