オーストラリアの、人口わずか2000人のバンダヌーンという村で、ペットボトル入り飲料の販売を禁止する条例を9月26日決定した。7月の住民投票は355対1の圧勝だった。
http://www.smh.com.au/national/nsw-town-dumps-bottled-water-20090926-g6ry.html
ペットボトルメーカーによる地下水開発反対がきっかけだったようである。ペットボトルの禁止を行政が行ったのは世界で初めてだそうである。
日本では、ペットボトルは丁寧に回収されている。2008年現在、57万トン製造されて、40万トン回収されている。まじめできめ細かい日本人の典型的な現象である。再利用されたペットボトルは多くは化学繊維になっている。廃棄されるよりはよっぽどましだと思うが、ペットボトルをほとんど使用しないものにとっては、どこか変な現象である。
善良な市民は、ペットボトルの回収が、環境保護なると固く信じている。あるいは、ペットボトルの回収に協力的であることで、環境問題に免罪符を得ていると思いこんでいる。これは回収にかかる費用やエネルギーは、環境保護のためなら仕方ないと信じる、笑うに笑えない現実である。
そもそも、あれほど手をかけ多くの国際紛争や社会問題の種になっている石油より、格段に高いペット飲料である。ガソリンは120円ほどであるが、1リットル100円以下の飲料はない。ガソリンのほぼ倍の価格を消費者に押し付けているのは、中身の飲料ではなくペットボトル価格であると言って過言でない。
バンダヌーンの町には、24時間開いている無料の給水所が4か所設けられた。そもそも世界中の水道水のほとんどを、無処置で飲めなくしたことが問題である。画期的な対策をしたオーストラリアの小さな町には、国内はもちろんのこと世界各国から問い合わせが殺到しているとのことである。
ペットボトルの使用禁止は、レジ袋の禁止より地球温暖化効果について格段に効果的である。回収のシステムをいくら検討しても、あるいは再利用の論理をいくら積み上げても、使用しないことに優る環境保護はない。業界や経済効果などから(作って回収する方が経済効果が大きい)当分は、国単位では動かないあろう。我々が、本当の環境問題はないかを小さなところからでも始めるしかないのではないか。