今回の参議院選挙は、大きな政策的な論点が多数あって、そのことが問われて国民が判断を下す・・・ハズであった。
大きな論点とは、関税撤廃に取り組むTPPであり、原発問題に発したエネルギー問題であり、財政再建と消費税の増税であり、憲法を改定して戦争のできるするかであった。選挙当初は、これらの論点をマスコミなども取り上げていた。どの問題も、日本の将来を左右するものである。
ところが選挙戦に入るや否や、ほとんどのマスコミが「ねじれ解消」があたかも選挙の焦点のようにしてしまった。
ねじれは現象であって性先でもなんでもない。結果は、自民党と公明党の圧勝であった。目先の、猫騙しのような経済政策のアベノミックスに食指が動き、支持した国民が多かったようである。
これで、衆議院と参議院のねじれはなくなったと、一斉に報道された。与党にとってはめでたしめでたしというところであろう。
先に掲げた、本来であれば論点になると思われたこと全てが、現在勝者の手中にある。自民党は、憲法を変えて軍隊を持ち、消費税は上げて財政の規律や社
会保障など二の次にしてさらなる増税に取り組み、原発は可能な限り再稼働されて輸出されることになる。
最も恐ろしいのは、関税撤廃と制度や規制のアメリカ化を目指すことになる、TPPの発展である。これらのことは、多くの国民は望んではいない。原発に至っては、80%の国民が反対している。他の論点も、半数以上の国民が異議を持っている。民主主義とはないかと考えさせる現象である。
こうして今回の選挙では、国会と国民の間に「ねじれ」が生じてしまった。このねじれを、自民党は解消するつもりは毛頭ない。多数党でいることの便利さを実感するだけだろう。
国会のねじれはあって当然のことであるが、政権と国民の間のねじれはあってはならないことである。