米国家安全保障局(NSA)による個人情報収集活動を告発し、米当局に訴追されている中央情報局(CIA)の元職員、スノーデンが8月1日、ロシアに入国した。スノーデンは6月23日からモスクワの空港に滞在し、世界各国への亡命を求めていた。アメリカは、旅券を無効にしたためモスクワ空港から動けなかったのである。
唯一の動ける方法はロシアへの亡命しかない。オバマは直接プーチンに引き渡しを求めていた。死刑にはしないとか、アメリカの国益に反することはやらせないとか条件まで出し、なりふり構わない交渉をしていた。
これに対してプーチンは、1年間の亡命という条件付きで認め入国させた。アメリカでは、ソチオリンピックのボイコット案まで出る、異常とも思える反応であった。オバマはかなり失望したようである。
アメリカは、来週予定していた、ハイレベルの協議が延期され、9月開催の米ロ首脳会談も延期する動きもある。たった一人の職員の内部告発に対して、アメリカは異常ともいえる反応をした。
ロシアでは、プーチン政権になってから、反プーチンの政治家やジャーナリストが、亡命先で何人も不審死を遂げている。プーチンがスノーデンの亡命を受け入れたのは、人道的見地からではない。アメリカに対して、何らかのカードとして使える可能性を探った結果である。
スノーデンの内部告発に対して、アメリカ政府は事実関係を否定したものがない。
誰の了解も取らない個人情報の取得についても、その必要性があったと述べている程度である。
アメリカではプライバシーはテロ対策の前に、存在しないも同然になってしまっている。歴史は、このような権限を与えられた為政者は、その拡大を無限に行うことを教えてくれている。その行為が決して人道的でないことを知っているから、オバマは焦っているのであろう。